「極稀に、考えるんですよね……」
アレンは自らの部屋で椅子に座ってそう呟いた。
[何を?]
現実味の無いどこかぼやけた感じの声が答えた。
アレンの隣……まだ茶髪だった頃のアレンがふわりふわりと漂っている。これが14番目の今の姿。
アレンが創造の記憶(メモリー)を使って与えた体だ。幽霊体なので物に触れることはできないが…
「何だと思います?」
[知らん]
「僕の思想くらい読もうと思えば読めるでしょう?」
[勝手にお前の思想は覗かないことにしている]
「嘘言わないでください。覗いて欲しくないときに覗くじゃないですか。何てたちの悪い性格してるんですか。貴方は」
アレンは呆れたように溜め息をついた。本気で呆れているのか嫌味を言っているのか、それは分からない。
[些細なことは気にするな]
14番目は怪しく微笑む。
「些細じゃないですよ。」
[そうか?些細だと思うがな]
「些細じゃないです」
[些細だ]
「違います」
[些細だろ]
「どこがです?」
[さぁ?]
「何なんですか、貴方……」
……幼げなやり取りはアレンが肩を落としたことで終わる。つまり……?
[俺の勝ちだな]
なのかな?
「何でそうなるんですか……」
[なるからなるんだ]
「……貴方を相手にするのは疲れます」
[そりゃ光栄だ]
「褒めてませんから」
[そうか?]
「はい」
[ふーん]
それは、細やかな楽しいやり取り……