「ティキぽん、アレンが何処にいるか知りませんカ?」
伯爵は歩いてきてそう聞いた。
「少年っすか?俺は……知らないっすね。どうしたんすか?」
「イイエ、気にしなくて大丈夫デス」
伯爵は首を振ってそう答えた。
「ふーん……ロードなら知ってそうだけど」
ロード、やたら少年の一緒にいるし、とティキは付け加える。
「ロードもレロも何処かへ行ってしまってマス……」
「アハハ……」
肩を落とす伯爵にティキは苦笑するしかなかった。
「取り敢えず有難うございます、ティキぽん」
「だからティキぽんはやめてもらえませんか?」
「嫌デス」
伯爵は一言答えて歩いていった。
くすくすと後ろから小さな笑い声が聞こえた。後ろを向くと今となっては見慣れた姿があった。
「……少年、何やってんの?」
「いえ、試してたんですよ。千年公、僕が細心の注意を払って行動していると気づかないんですね」
[どうにもこうしてると楽しくてな]
「14番目までか…お前ら二人揃って……たち悪ぃな」
ティキは大袈裟に溜め息をついて見せる。
「それは14番目だけですよ」
ムッとしたアレンは言い返す。
[何でそうなる]
「貴方がたち悪いのは確かですが僕の何処がたち悪いんですか?」
「色々」
ティキがそう言って割って入る。
[ティキに賛成だ]
以外にも(?)14番目はティキに賛成する。
「……そーですか」
[そうだよ]
「貴方に言われたくないです」
「……仲良いな」
「否定はしませんよ」
[ああ。それこそ仲が悪いと沈黙だな。隣にいようがなんだろうが]
二人は頷く。
「もしそうだと気まずすぎて嫌だな」
「そうですね。じゃあ、ティキ。僕達は千年公を追いかけるので」
アレンは満面の笑みを浮かべてそう言い、歩いていった。
「順応性の高い奴だな。少年って」
ティキは一人でそう呟いた。