「じゃあ、また夕刻に」
「ハイ。また後デ」
アレンは伯爵の部屋を後にする。
「……あれが、本当の姿の一部なんでしょうか?」
[ん?]
「いいえ。何も」
[そうか]
……ずっと思うんです。
なんで千年伯爵は存在するんでしょう?
それは彼の存在を人間が望んだのではないでしょうか?
……だとしたならば、何故望んだのでしょうか?彼に何を望んだのでしょう?
今の千年伯爵の在り方は望まれた姿なのでしょうか?
……もしそうでないならば本来はどんな姿なのだろう?
きっと誰も知らないでしょう。
……何故、歪んだのでしょう?
それは━━━
人間が、欲深いからではないでしょうか?
だから彼は人間を殺すのではないでしょうか?
ならば━━━
志を共にするノアの一族……家族に優しいのは道理。
━END━