アレンは目を覚ます。
「……どうして?」
涙が頬を伝う。
「どうして、殺そうと思ったんですか?……あんなにも…あんなにも伯爵を慕ってたのに……」
涙を拭うことも忘れて呟く。
「わからない……僕には、理解できない……」
「アレン・ウォーカー?」
カツン
と音がしてしばらく……声が聞こえた。
「伯爵……」
すぐそこにたつ伯爵は…
「何を泣いているのですカ」
問う。
「……何も」
「……ひとつ、警告しておきましょうカ。お前は、近いうちに覚醒してしまいますヨ。それでもあちらにいるならば、向こうに歩いていきなさい。帰ることができマス」
「……何の為につれてきたんですか?」
最大の、疑問だった。
「……14番目とは関係無くお前と話してみたかったんデス……ただ、それだけですヨ」
意外な答えに驚きながら、アレンは涙を拭って立ち上がり、伯爵の示した方向に歩き出した。
「さようなら。白い道化(クラウン)」
「さようなら。愚かな道化(オーギュスト)」
挨拶を交わして……
様々な想いの下……
互いの姿は見えなくなっていった。
これは、
アレンがノア側につくほんの数日前のはなし……