「ガウリイー!あんたって奴わ〜!」
 金色の髪の男性をスリッパで殴り、襟首引き掴んでいるリナの様子を見ていると、それがとても微笑ましくて…
 ……彼女が幸福なのだという事がよく解った……

 ……そうして……同時にとても辛かった……
 
 …昏い闇の中…独り取り残され…混沌に還る事も出来ず…孤独に永劫の時を在り続ける…哀しき存在…様々な意味で自分にとって大切な彼女のコトを思い出して…

 …金色の髪の女性が闇の中に独り佇んでいた…
 「……ねぇ…セレーネ…ジブリール…」
 …小柄な背中を向け…俯いて…彼女は私達にそう声を掛ける…
 「お呼びですか?ラグナ・マスター様」
 私達は跪きそう応える…
 「…みんなは…姉ちゃんは…幸せだったのかしら…それに…あいつは…」
 …遠くを見つめ切なげに彼女はそう言った…誰にともなく…
 「……それは…」
 私は…私達は口ごもる…何をどう言えばいいのか解らなくて…
 …総てを無くした彼女の悲哀が…あまりに痛くて…
 …その悲しみは…苦しみは…少なくとは私達には絶対に解らないから…

 「…ねぇ…セレーネ…ジブリール…恨んでも…いいのよ…」
 ゆっくりと振り返ってそう言った…その彼女の言葉にギョッとする…
 「何をっ!」
 …あまりの事に…そして彼女のその切なげな金の瞳に射すくめられて…それ以上を言えない…言うべき言葉が見つからない…
 「権利はあるのよ…だってあなた達は巻き込まれただけ…そして…あなた達を巻き込んだのは…あたしなんだから…」
 淡々と言う彼女の言葉に…
 「…そんなっ!そんな事を言わないで下さい!」
 「私達にだって選択の権利は有ったって知ってます!選ぶ機会をちゃんとくれた事!知っています!」
 …ようやく私達は反論する!その言葉を見出す事が出来る…
 「何故それを!?誰が?ああそうか…彼女達の中の誰かね…まったくお節介してくれてっ!」
 彼女は驚いたようだったが…直ぐに何かに納得したようにそう言う…どうやらいくつか心当たりがあるようで…
 …そして僅かに嬉しそうでもあった…
 「…私達が選んだんです…だから!気にしたりしないで下さい!」
 「……ゴメン……それと…ありがと…」
 口を揃えてそう言う私達二人に…彼女はホンの少しだけ複雑そうな表情をして…再び踵を返し背を向けると、小さな声でそう言い…そして闇の中…何処かへと姿を消した…  


 
虚無の欠片 ―10―


 「アメリアに決まってるでしょうが!アメリアに!」
 ガウリイの首根っこ引っ掴み、ガクガク揺する!
 …何だか…あたしさっきからこればっかりやってる様な気がする…
 まったくボケた奴が多いいから!
 ええい!それもこれも全部ゼロスが悪い!今度会ったら見てなさいよ〜!(←完全に八つ当たり)
 「あ〜!そうだ!アメリアだ!覚えてる覚えてる!」
 ぽんっと手を叩いて首を上下に何度か振り、納得したという表情をするガウリイ…
 こぉの!巨大大嘘付きが!さっきまでキレイィーニッ!忘れてたのは何処の誰よっ!
 「ガ…ガウリイさん…酷いです〜いくら!いくらガウリイさんでも!正義の為に共に戦った仲間を忘れるなんて!あんまりよ〜」
 …アメリアはガウリイの言葉に泣き始めてしまった…
 …まあ…無理も無いわね…
 「ああ!アメリア!冗談だ冗談!」
 ガウリイがおろおろしてなんとかフォローをしようと試みている様だが…
 「そんなの嘘です!正義じゃ無いです!」
 アメリアはまったくと言って良いほど取り合わない!
 …ガウリイ…こういう時、普段の行いがモノを言うのよ…
 …多分誰も助けてくれないでしょうけど…頑張ってね…ほんのちょっとだけなら応援してあげるから…
 「ガウリイの奴…本当に相変わらずだな…」
 いつの間にか隣に来ていたゼルが嘆息してそう言う…
 「…ン?何ゼル?此処に来るまでになんかあったの?」
 ゼルの言葉に…どうせまたガウリイの奴、此処に着くまでの間にも、似た様な大ボケかましてるんだろう等と思いながらそう問い掛ける…
 「…ああ…いや…あんたが考えてる事は大体分かる…それとは別にな…」
 おや?なんだか言いにくそうである…と言うより…どう言って良いのか悩んでる?
 「…もしかして…神託の事?」
 「ああ…もうアメリアから聞いていたのか?」
 あたしの言葉に安心したように、そう言った…
 …どうやら…何処から話していいのかで迷っていたようだ…
 「…まあ…ね…」
 …尤も…まだほんの少しだけなんでしょうけど…
 「…そうか…なら余計な説明はいらないな…」
 …そう言って…ゼルは話し始めた…
 …あんたは旦那と違って話しが早いから助かる…そう苦笑しながら…
 …余程…ガウリイに会った時苦労したのだろう…説明に…
 …大変だったのね…ゼル…シルフィール…
 …あたしはその時の事を思い…彼等に同情した… 

                                  ―続く




 ―あとがき―
 RIN:エーRINです!ようやく『虚無の欠片』第十話です!
     と言うわけで!(どんなわけだ!)
     今回それを記念して、冒頭は久し振りにセレーネです!
     …そして番外編ネタも入れました!
  L様:あんた…一体何考えていきなりそのネタ持ってきたのよ?
     …確かそのネタは本編では当分触れないんじゃ無かったの?
 RIN:エート…そのつもりだったんですけど…
  L様:けど?
 RIN:…他でのシリーズの話しの都合上…
     伏線そろそろこっちでも張って置いた方が良いかなぁ?って思いまして…
  L様:あっ!そう…でも伏線やら設定やらいっぱい張るのも、
     作るのもいいけど…それで自分の首絞めないようにしなさいね!
 RIN:心配して下さるんですか!?L様が!?
  L様:うん!だってあんたがこの話し途中で挫折すると、
     あたしの出番が無くなるじゃない!
 RIN:ウゥ…どうせ…どうせ…
  L様:まっ!そういうわけだから頑張って書きなさい!
     こんなのでも、読んでくれている奇特な人がいるんだから!
 RIN:そうですね!まだ私には有り難き読者の方々が!
     皆様!いつも有り難うございます!頑張って続き書きますので!
  L様:なら!とっとと予告やって、次書きなさい!
 RIN:はい!次回は全員一緒に宿屋に行って…
     …それから書けるようなら…セレーネの問題発言の内容いきます!
     …長らくお待たせしてしまいましたが…今度こそ…
     次回かそれか遅くとも次々回位には…そちらの内容に入れると思います…
 
     ―えーでは皆様ここまでお読み下さり有り難うございますm(_ _)m

  L様:それじゃあ皆様また今度!

     (ほら!部下S!幕を降ろしなさい!)
     (ハッ!ハイィ!今すぐに!)
 
     ―そんな微かな声がした後に…ゆっくりと幕が降りてくる…

                                  ―幕―

 ―それではまた―RIN―




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