…師匠…父上…
 …僕はどうしたら良いのでしょう…
 …こんなに不安定な僕が…
 …本当に大丈夫なんでしょうか…

 …師叔…もし現在(いま)此処にあなたがいたら…あなたはなんと言うのでしょう…
 …この仙界を…神界を…人間界を…そして…封神計画を…
 …師叔…あなたが始祖でなかったならば…有り得ない事ではあるけれども…
 …それでも…あなたが本当に只の道士だったなら…

 …あなたは…

 
 
―未来に向けて・後編―  


 ―其れは決して有り得ないこと…

 …始祖よ…あなた方は僕らに様々なモノを与え…奪った…
 …でも現在の僕にとってはそんなことはどうでもいい…
 …もう…終わったことだから…

 ―本当に?

 …師匠…父上…師叔…
 …大切な人達はもういない…
 …其れを奪ったモノさえも…

 ―彼は生きている…彼は存在している…何処かに…

 …生きているのなら戻ってきて欲しい…
 …皆会いたがっている…捜している…
 …新しく歩み始めたばかりのこの世界は…あなたを必要としている…
 …あなたという存在を…

 ―それは違う…子供達は歩み始めた…もう導は必要ない…

 …ずっと…虚ろに…淡々と…まるで霞がかかった様だった…
 …ぼうっと…ただ…考えていた…
 …それだけの筈だった…
 …それなのに…
 「…!?」
 …いつの間にかその声が割り込んでいた…
 …あまりに自然だったので…気付かなかったが…
 それに気付いて顔を上げた…
 …だが…其処にはやはり誰もいなかった…
 「師叔!?あなた其処にいるんですか!?」
 …溢れ出すのは戸惑いか…
 …それとも…

 ―彼はもういない…何処にも…

 「ではあなたは誰なのです?」
 「あなた方の…始祖の目的とは…封神計画とは一体なんだったのです!本当は!?」
 …それはずっと気になっていたこと…

 ―始祖の目的…封神計画…其れは解放…真の自由…
 ―彼等は疲れていた…あらゆる意味で…
 ―疲れ…狂い…歪みかけていた…
 ―だから王は…それを正そうとした…

 …王?…王とは誰の事だろう?
 …声の主は誰なのだろう…本当に師叔ではないのかもしれない…
 「王とは誰の事ですか?あなたは師叔…いえ…始祖・伏羲ではないのですか?」
 …しかしそれならば誰なのか…一体自分はこれまで誰と話していたのか?
 
 ―私が?…伏羲様…教主よ…それはあまりに不遜な間違えだ…
 ―しかし教主よ…それでもやはり許されるのだろう…
 ―汝は彼の王に選ばれしゆえに…

 …王に選ばれた?一体何の事を言っているんだ?
 
 ―私は王が遺した最後の遺産…
 ―計画終了直後より暫しの時『ある一定期間』…教主が『ある言葉』を口にした時…
 ―作動するよう用意されたプログラム…
 ―迷う無かれ…教主よ…王は三界にそれぞれ最も相応しき存在を王として選んだ…
 ―汝は王の祝福を受けしもの…仙界の王として選ばれた存在(もの)なり…

 …『ある言葉』?なんの事だ?
 …迷うなって…どういう事だ?

 ―迷う無かれ…
 ―顔を上げて前へ進め…
 ―過去を乗り越え…現在を受け入れ…未来に向けて…
 ―汝らを縛する存在(もの)は既に無し…
 ―ただ唯一あるとしたらそれは…汝等自身の心のみ…
 ―自覚せよ…汝等は既に庇護者から離れたのだという事を…

 …気が付くと其処は執務室だった…
 …自分は執務の途中だった…
 「…眠ってたのかな…」
 …あれは夢だったんだろうか…
 …否…多分そうじゃない…
 
 「…始祖の遺産…か…王っていうのは…あの人の事なんだろうな…」

 …だとしたら…あれは彼から僕らへの…
 …最後のメッセージ…
 
 「…未来に向けて…か…」
 「…まったく…あんなものまで用意してたって事は…もう本当に戻らないつもりなんだろうな…」
 …それにしても…
 …この蓬莱島一度念入りに調べてみた方が良いな… 
 「…やれやれ…忙しくなりそうだ…」
 そう言いつつも楊ゼンは笑っていた…それは久方ぶりの…明るい生気の宿った笑顔だった…

                             ―終わり―

 ―あとがき―
 お久し振りです、RINです、CIPHER様、遅くなってしまい申し訳ありませんでした<(_ _)>
 封神リク小説『未来に向けて』後編、ようやく書き上がりましたので、取り敢えず一応これをUPさせて頂こうと思います。
 ご満足頂けるかどうか分かりませんが、まずはこれをお受け取り下さい、続きは今年中にはUP致したく思っております。
 もしご不満な様なら仰って頂ければ時間は掛かるかも知れませんが書き直しを致しますので、遠慮無くどうぞ(^_^)

 ―それではリクエストどうも有り難うございましたm(_ _)m
 ―そして改めて4444HITおめでとうございました!(^^)!

                    ―それではまたの機会に―RIN―