―悩みと疑問―(道徳真君の悩み)
何だか最近…天化の様子がおかしい…
一体どうしたんだろう…修行にあまり身が入って無いようだし…
それに…最近やたら視線を感じる…天化が何か物言いたげに、俺を見ている…
どうしたんだいと聞いても…
「コーチには関係ないさっ!!」
そう言ってそっぽを向いてしまう…
一体どうしたんだろう…
…地上が恋しいのだろうか?父上や母上が恋しいのだろうか?
でもそれなら天化はそう言うだろう…あの子は素直ないい子だから…
でも…俺がその事を聞くと天化は怒ってしまう…何故だろう…
俺は天化を怒らせる様な事をしたのだろうか?
…したのかもしれない…
ハッ…もしや…それで天化は俺の事を嫌いになってしまったのだろうか?
そうか!そうだったのか!ゴメンよ天化…すぐに謝るからな!
だから天化…俺を嫌わないでくれ!!!
「天化!」
「息せき切って…どうしたさ…コーチ?」
ああ…天化…やっぱりどこか様子がおかしい…早く謝らないと…早く…
「すまない!天化!」
「どっどうしたさ?コーチ!」
どもる天化に構わず、道徳は捲し立てる…
「修行が厳しかったのか?瞑想が嫌だったのか?薬丹が苦かったのか?肉が食べたかったのか?米が食べたかったのか?友達と遊びたかったのか?それとも俺の料理は不味かったのか?すまない!ゴメンよ天化、気が付いてやれなくて、でも修行に関しては必要な事なんだ!強くなりたいなら、修行をして、気を練って、もっと功夫を積まなくちゃいけないんだよ、友達と遊びたいんなら、地上の友達は無理だけど…仙人界でも作ろうと思えば作れるし…料理はもっと工夫してみるから…お願いだから天化!俺を嫌わないでくれ!!」
道徳は凄い勢いでそう言った!
「嫌うって…俺っち別にコーチの事嫌いじゃないさ…」
天化は呆気に取られた様子でそう言った。
「…えっ?」
「だから、嫌ってないって言ってるさ!一体どうしてそんな事急に言い出したさ?」
「嫌ってないのかい?」
「だから…そう言ってるさ…」
「なんだ…そうなのか…良かった!良かった!」
「それじゃな、天化!修行がんばれよ!」
道徳は一人で納得して一人で去って行った…
「そうか〜、俺は天化に嫌われてなかったのか♪」
よかった、よかったと道徳は一人でにこにこしていた…
―天化編につづく―