―悩みと疑問― (天化の疑問)
…最近…コーチの様子がおかしい…
何だか妙にそわそわして…溜息を吐いたり…キョロキョロしたり…うろうろしたり…急に一人で騒いだり…変な事言ったり…
…俺っちの事…じっと見たり…
…何だか…最近のコーチは変さ…
何かコーチ…悩みでもあるさ?
「天化!俺今日は雲中子の所に用があるんだけれど、遅くなるようならそのまま泊まるから、お前は今日は太乙の所にでも行って来なさい!いいね!」
「分かったさ…でもコーチ、最近何やってるさ?この前は太乙様、その前は普賢様の所に外泊したさ…あんまり無理はしない方がいいさ…」
「ありがとう天化、でも俺は行かないと行けないんだ!それじゃあな!」
そしてコーチはもの凄い勢いで行ってしまったさ…
俺っちもあの後すぐに太乙様の洞府に向かったさ。
「…太乙様だったら知ってるさ?」
「突然どうしたんだい?天化君」
試験管から何かの液体をビーカーに移しながら太乙様が俺っちの方を向き直る。
「…コーチの事さ…コーチ最近…様子がおかしいさ…」
「…見られてるもんだね〜」
小さく嘆息し、ホンの小声で太乙様はそう呟いた。
「それ!どういう事さ?やっぱり何かあるのさ?」
「いや…天化君、君が心配するような事じゃないんだよ、少し感心したのさ…君は師匠思いだなって…」
「そっ、そんな事ないさ〜」
太乙様〜、照れるさ〜
ある事に気が付いてハッとする!
「太乙様!そんな事言っても誤魔化されないさ!コーチは何をやってるさ!」
「わっ分かったよ〜その代わり、僕が喋ったっていうのは内緒だよ…」
「実は…道徳はね…誰か好きな人が出来たみたいなんだ…」
「えっ…コーチに…」
変さ…何でこんなにショック何さ…
「うん、最も道徳は…」
「相手は…相手は誰さ…」
コーチの幸せは嬉しい筈さ…恋人もいないのがいつも気になっていた筈さ…
「相手まではちょっと…」
「そっ…そうさ…俺っちもう寝るさ…」
ふらふらと天化君は客室に向かって行った。
「道徳も天化君もまったく…似たもの同士だね〜」
ある日コーチが言った…
「天化、何かあったのか?」
悩みなんか何もなさそうな表情で…
俺っち…はこんなにコーチの事を心配してるのに…コーチは…
「コーチには関係ないさっ!!」
…だから思わずそう言ってしまったさ…
―完結編に続く―