―マリアンの弟子…アレン・ウォーカー…
 …少し話しただけで十分に解ってしまった…
 …やはり…かなり苦労しているらしい…
 …なんて不憫な…

 …まあ…それはともかく…いまは『何が』あったのかを聞かないと… 


 
―ノアの王子―
       ―6―
 


 ―『気が付いたら『方舟』のなかにいた』
 …そうマリアンの弟子は言った…
 …その後の話から伯爵の狙いや、しかしそれにも関わらず何故彼等が無事に戻ってこれたのかが解った…
 …そしてその話で…『彼』が…マリアンの弟子がどうやら臨界点を突破したらしいと言うことも解った…
 …そして…それが解った直後くらいからだろうか?
 …リーの態度が僅かに変わった…
 …心なしか…安心したような…
 …そのリーの様子に尚更解らなくなる…
 …一体リーは『何に』あれほど脅えていたのか?
 …何故ウォーカーが臨界点を突破したと知って安心するのか?

 …やはり…まだ『何か』があるのだろう…
 …それも恐らくはウォーカー絡みで…

 …彼は…嘘は言わなかったかも知れない…
 …だが…敢えて語らなかったことがあるのではないだろうか…

                                            ―続く―