…臨界点を突破したらしいウォーカーとそれを知って安心したらしいリー…
 
 …そのことが妙に気にかかった…

 …そして…もう一つ…気にかかっていたこと…

 …『彼等』が帰ってきたことにより、打ち切られたブックマンの『説明』…

 …ブックマンは…ウォーカーが臨界点を突破したと言うのを聞いて、ラビを連れてその場を離れた…

 …もしかしたら…詳しい話を聞いているのかも知れない…

 …ふむ…

 …ブックマンに聞いてみるか…


 
―ノアの王子―
       ―7―
 


 …ブックマンに聞いてみよう…そう思って『彼等』の行った方へと…『彼等』を捜し…暫く歩いた時だった…

 ―壁の影に隠れるような位置にブックマンとラビはいた。
 …私は…二人を見付け声を掛けようとして…
 …しかし次の瞬間…それが出来なかった…
 「馬鹿者っ!それのどこが安心じゃ!」
 …そのブックマンの怒鳴り声…
 …その声に…私はただならぬものを感じ…
 …声を掛けるのを止めた…

 …気軽に声を掛けられるような雰囲気では無かった… 

 …すると…とんでもない話が耳に飛び込んできて…

 …私は…そのあまりの内容に…咄嗟に気配を消し…壁の反対側に身を潜めた…

                                            ―続く―