―レベル4の頬へと当てられていた『その手』が、『エクソシスト』が叫んだ次の瞬間には『退魔の剣』を握っていた。

 …そして…

 ―『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』―
 上がった二つの咆吼。

 …後にレベル4は破壊される。

 黒髪のエクソシストの『日本刀』を象った『イノセンス』と…

 …そして…

 …『退魔の剣(クラウン・クラウン)』を『その手』に持った…『白髪の彼』…『色々と変わり種ではある』が…それでも『エクソシスト』だと…遂先程まで信じていた…『アレン』によって…


 
―もしもあの時…(ケース1)
    『千年伯爵とロードがいたら?』
                 ―8―
  


 ―ドサ
 AKUMAを破壊した後…『彼』は壁に凭れるように座り込んだ…

 ―「……オイ」―
 …低い声で『彼』が言う。

 あまり『彼』…『アレン』らしくない声と呼び掛けに僕は疑問に思う…
 『彼』は…『アレン』は…『どういう状況なんだろう?』と…
 
 ―エクソシストが叫んだ…今にしてみれば…『アレ』は『アレン』に対する呼び掛けだったのだろう。
 そして一気に消えた…霧散した『ノア』の『気配』…まるで何もかもが『夢』か『幻』だったかのように…

 …『アレン』は俯いていて…その表情は分からない…
 …だから…『彼』が『いま』…どんな表情(かお)をしているのか分からない…
 
 …けれど髪質は元のほぼ真っ直ぐなアレンの『それ』…『ノア』の『気配』も消えてしまった『今』…先程の…あの『覚醒』の『瞬間』を見ていなければ…『彼』が『ノア』だとは思わなかったかも知れない…

 …だけど…レベル4の『向こう側』にいて共に『退魔の剣』によって刺し貫かれていた『人物』こそが『ノア』なのだ…そして…レベル4が破壊された事によって『其処』にいた『人物』が『見間違え』ではなく『アレン』であると判った。

 …なら…やっぱり『彼』は…『アレン』は…
 そう思った時…

 ―「「アレン」だっていってんでしょ」―
 『彼』が顔を上げてそう言った。

                                       ―続く―