『…ヒントをやる…』
…そう言って自来也が放り投げてきた一枚の丸めた紙…
『…はあ…一体なんだって…』
…言うんだい…そう言い掛けて…そこで止まった…
…丸められた紙を広げながら言おうとしたその言葉…
…しかし『それ』は紙を広げたその時…
…『それ』に書かれたある『一文』によって止められ…
…代わりに綱手が口にしたのは…
…『…生きていたのかい?私は死んだって聞いていたけどね?』…
…その『一文』が指し示す『真実』と、自分が知る『事実』に関する『違い』に対する問い掛けだった…
奥の真実―2―
―…『カナリ』に会え…―
…自来也が放り投げた紙に書かれていた『ソレ』…
…『いつきカナリ』…
…綱手の記憶にある『カナリ』という娘は、忍とは思えぬ程穏やかな気質で、常に優しげな微笑みを浮かべ、そしていつも…そう何故か(婚約者でありながら)いつも…半歩程四代目(当時はまだ四代目では無かったが…)より下がって、眩しいものでも見る様に四代目を見つめていた…そんな娘だった…
…『カナリ』は目立たない娘だった…
…影が薄いわけでも無いのに…
…『四代目』の結婚相手でありながら…
…異常なまでに目立たない…
(…そしてそのコトに殆どの者が疑問を抱かない…)
…そんな娘だった…
…『カナリ』を『上忍・いつきカナリ』として知らぬ者は『カナリ』を忍だとさえ気付けない…そんな娘…
…当時綱手が『カナリ』を知っていたのは、綱手が三代目の弟子で、『カナリ』が三代目の姪だった為だった…
…そして…だから『四代目』との婚約が成立した当初綱手は知らなかった…
…『忍』としての『カナリ』を…
…だから綱手は思っていた…
…『カナリ』は『忍』には向かないと…
…そしてその感想は…
…初対面時の『ナルト』に対するモノと共通するモノでもあった…
―続く―