「…お前は…本当にそれでいいのかい……私にはあの日のお前の言葉がただの演技だとはどうしても思えないんだけどね……ナルト……」

 …四代目の私室…ツイナがその部屋を立ち去って暫く経った頃…綱手はポツリと小さく呟いた…
 …その声音には深い苦渋の色が滲み出ていた…

 …そして…現在(いま)綱手は独り決断を迫られていた…

 ―…綱手は思い返していた…決断する為に… 


 
奥の真実―1―


 「…歴代火影に受け継がれる『巻物』か…そんな物があったとはね…」
 綱手は火影邸内を一人歩きながら小さく呟いた…
 …先程なされたばかりの、自来也とご意見番との会話を思い返しながら…


 『…火影邸の何処かに、歴代の火影に代々受け継がれる…『ある巻物』がある…』
 『…巻物?…そういう言い方をするってことは…ただの巻物じゃあないね?』
 『…うむ…』
 『…その巻物はな…綱手…火影と『ある一族の宗主』のみにしか開く事は敵わぬ秘伝の巻物で…その巻物を開く事が出来て始めて真の意味で『火影』として認められる…』
 『…まあ…お前ならば大丈夫だろうが…だが…』
 …口々に重々しい様子でそう告げるご意見番達の様子に、綱手は訝しく思い眉を寄せる…
 『……綱手…』
 『…ん?…なんだい?自来也お前まで?はっきり言いな!』
 …言い難そうに口ごもる自来也の様子に綱手は不信気な様子で問い質す。
 『…綱手…その『巻物』は…ある意味お前にとって辛い『真実』を突き付ける切っ掛けとなる…それでも…』
 『…『真実』?なんだいそれは?…何だか知らないが私はもう逃げないよ!…決めたんだからね!』
 …はっきりしない自来也の物言いに綱手はイライラして、言葉を途中で遮り言いたいことを言う。
 『…そうか……綱手…ヒントをやる…』
 『…ヒント?…なんだいそれ?いらないよそんな…』
 『…まあそう言うな…ホレッ!』
 …そんな苛立たしげな綱手の様子に…自来也は微かに嘆息を吐くと、そう言って一枚の丸めた紙を放り投げた… 

                                  ―続く―