―大きくなったな 楊ゼン―
幼き迷い子 ―序―
…えーん…えーん…
深い霧に包まれた薄暗い森の中…子供が一人、蹲って泣いていた…
但し、ただの子供では無かった…暗闇で分かりにくいが、その子供には丸く小さな、羊の物に酷似した角があった…
不意に子供は何かを感じ取って顔を上げた…
しかし泣きやんだ訳では無かった…
子供の目には未だ涙があり、その表情(かお)には不安の色が滲んでいた…
そして…カサ、カサッという物音と共に茂みから飛び出してきた何かに子供は一瞬目を瞑り身を竦ませた…
「楊ゼン!楊ゼン!何処に行ったのだ!」
長い黒髪を持つ壮年の男が一人林の中を駆け回っていた…
ある日の夜、男は入門したての愛弟子を薬草摘みに見晴らしの良い草原に連れて行った。
入門したてと言っても仙人であるその男からみてのものである、実際にはその子供・楊ゼンが男・玉鼎真人の元に預けられてから既に数歳の時が経っていた…
そしてこれは楊ゼンにとっては、玉泉山に預けられてからは、初めての遠出だった…
楊ゼンは理由(わけ)あって、玉鼎の元に内密の内に預けられた子供であり、また当面の間はその存在を隠し続けなくてはいけない子供だった…
そういった事情から楊ゼンは洞府から滅多に出る事が出来なかった。
(楊ゼンは賢い、しっかりした良い子だ…だがまだ子供だ…本当なら外に出て遊びたいだろうに…友達もおらず…自由に野を駆け回る事も出来ない…それなのにあの子はわがままの一つも言わない…私を困らせるだけだと判っているんだろう…本当にいい子だ…だが…それだけにあの子が不憫だ…)
そんな風に常から思っていた玉鼎は、ある日楊ゼンに明日の夜薬草摘みに玉泉山の外れの草原に出かけるから一緒に来るかと告げた…
―続く―
―あとがき―
道行マリル様、リクエストどうも有り難う御座います(^_^)v
そして突発リク企画・参加賞Lv0.5、キリ番前後賞2223HITLv0.5、突発リク企画・参加賞&残念賞Lv1、各リク権ゲット改めておめでとう御座いますm(_ _)m
リク内容はリクLv2で「玉鼎&楊ゼン(用は師弟もの)」という事でした。
今回は取り敢えず序章だけUPさせて頂きます。
ご満足頂けるかどうか分かりませんが、まずはこれをお受け取り下さい、続きは近日中にUPしたく思います。
もしご不満な様なら仰って頂ければ時間は掛かるかも知れませんが書き直しを致しますので、遠慮無くどうぞ(^_^)
―それではリク権貯金並びにリクエストどうも有り難う御座いました―RIN―