「楊ゼン、明日の夜、この季節の夜にしか採れない薬草を探しに行こうと思っているのだが、夜遅くにお前を一人洞府に残して行くのも心許ない、私は薬草を探さなければいけないから、あまりお前を構ってはやれないが、それでも良ければお前も一緒に行くか?」
「師匠…あの…いいのですか…」
「薬草摘みは修行の一貫でもあるし、そろそろ良いかと思っていたのだが…ただ…明日は夜中の薬草摘みだからな…本来なら眠っている筈の時間だしな、お前次第だよ」
「師匠…それ…」
「嫌か?」
「…否…行きたいです!連れて行って下さい!」
―それが外への第一歩だった…
幼き迷い子 ―1―
『夜中の薬草摘み』その言葉に賢いあの子は気が付いていた様子だった…
その意味する所に…
「あまり遠くに行っては行けないよ…」
物珍しげに辺りを見回す楊ゼンにそう告げると、楊ゼンは「分かりました」と元気良く頷いて嬉しそうに野を駆けて行った…
その様子を眺めながら「やはり連れてきて良かった」と玉鼎は思った…
玉鼎は薬草を採取している間も常に楊ゼンの様子を気配で感じていた。
そう遠くない所に楊ゼンの気配を感じ…その気配の様子から楊ゼンの安全を確信していた…
だからこそ玉鼎は初め何が起こったのか判らず混乱し、慌てた。
―楊ゼンの気配が唐突に何の前触れもなく掻き消えた為だった…
―続く―
―あとがき―
済みません、道行マリル様<(_ _)>
遅くなってしまいました。
幼き迷い子の第一話をようやくUP出来ました。
第2話はもう暫くお待ち頂く事になると思います。
―それではまた―RIN―