「…その任務から…僕を外してください…」

 ―僕の言葉を遮ってアレンくんはそう言った。

 …正直…彼が…『お願いがある』と言い、そして『任務』の話しを切り出した時点でアレンくんがそう言うであろうことは予想できていた。

 ―眠るアレンくんの様子から…ティムキャンピーの『記録(メモリー)』を見て…『彼』の『状態』は予想できていたから…
 

 
―懊悩の末の『決意』―
            ―6―
 


 「……アレンくん…」
 「…僕はまた『闇』に堕ちそうになりました…『種』の『魔力』に囚われ掛けました…」
 僕の名を呼び、『何か』を言おうとしたコムイさんの言葉を僕はそう言って遮った。
 「…それも『ノア』の前で…多分師匠が言ってた『奴ら』って『ノア』のことなんです…僕の内(なか)に『種』があることを気付かれたら付け込まれるって…以前っ…そう師匠は言ってたんですっ…!…」
 …さっきまでは迷ってた…でも…
 …もしコムイさんに『何か』言われたら…
 …崩れるかも知れない…漸く…『決意』したのに…
 …『決意』…できたのにっ…!…

 ―だから…

 「お願いですっコムイさんっ!僕を今度の任務から外して下さい」
 そう言って僕は勢いよく頭を下げる。

 …お願いですコムイさん…僕は恐いんです…

 …だって…『種』は…僕が思う以上に…厄介な『モノ』かも知れないから……
 そう思って僕はコムイさんに頼む。

 …折角の『決意』が揺らがないようにと…

                                       ―終わり―