「…リナリーのお見舞いと…それと…」
そこまで言って言い淀んだアレンの様子に、コムイは僅かに眉を動かす。
「…リナリー…まだ目を覚まさないんですね…」
次いでアレンが言った言葉は…どう考えても言い淀んだのを誤魔化す為の言葉だった…
―懊悩の末の『決意』―
―5―
「…それで…アレンくん何の用だい?」
僕の言葉にコムイさんは軽く嘆息を吐いてそう問い掛ける。
「リナリーのお見舞いの為だけで来た訳じゃないんだろう?」
いつになく真剣な眼差しでコムイさんが言う…(…と言っても『任務』の『話し』の時と同じだけど…)
そして僕を気遣ってか…そう言った後にこりと笑う。
そんなコムイさんに…僕は胸中でお礼を言いながら…
「……コムイさん…お願いがあります…」
一度唾を呑み込んで、そしてそう切り出す。
「……なんだい」
ホンの数秒…コムイさんは瞳を閉じ…そして微かに息を吐き…僅かな沈黙の後そう問う…(…尤も…どちらかと言うと…)
……躊躇っている僕を…促してくれてるって言うべきかな…疑問系じゃないし…
そう思いつつ…僕は口を開く…
「…長期の任務があるって…言いましたよね…」
「…うん…詳しい話しはリナリーが目覚めたらって言ったよね…」
目覚めた時にコムイさんから聞いた『長期任務』のことを…その有無を確認するように切り出す僕にコムイさんが頷き…
「…だからアレンくんキミはそれまでゆっくり休んで…」
「…その任務から…僕を外してください…」
言い掛けたコムイさんのその言葉を遮り、僕はそう言った…
―続く―