「素敵な良い名前ですね」
 そう言ってにっこり微笑った彼の微笑みに、顔が紅潮しドキドキした。

 ―何故そんな風になったのか解らなかった…
 

 
ラーズグリーズの出会い
              ―11―
  


 『自分の部屋』に入って扉を後ろ手で閉めた。そして私はそのままその場にへたり込む…

 …どうしよう…なに?これ?力が入らない…

 …それに…

 …いまもまだドキドキしてる…
 ソッと胸に手を当てて見ると…やはり胸はドキドキと早鐘のように大きな音を発てていて…こんな事初めてで…私は一体自分がどうしてしまったのか…まるで解らなかった。

 …一体…どうして…
 そう思って瞳を閉じる。

 「…あっ…!…そっ…そうだっ…あのっ用事があったんだわっ!ごめんなさいっ!あのっ!あのっ!大人しく寝ててねっ!」
 ドギマギして…捲し立てるようにそう言った…

 …そして…部屋を出てきた。

 溜め息を吐き目を開け…そうして天井を見上げ…
 「……変に…思ったわよね…やっぱり…」
 部屋を出てきた時の事を思い出してそう呟く。

 ―そして…大きく溜め息を吐き…

 …私は手に持っている物を見つめる…
 …彼・アレンのボタンとコートを…

 暫く見つめ…そして扉に力無く凭れ掛かり…

 「…なに…やってるんだろう…私…」
 そう溜め息混じりに呟いた。

                                       ―終わり―