「…私…私はアニス…『アニス』と言うの…」
 彼に名を問われて…私はそう名乗る…

 …伯爵様が…『私』の『名前』だと云った『名前』を…
 

 
ラーズグリーズの出会い
              ―10―
  


 「…アニス…アニス…」
 彼は小さく何度もそう呟く。

 ―そして…

 「素敵な良い名前ですね」
 にっこり微笑って彼はそう言った。

 その『言葉』に、その『微笑み』に私の頬が何故か一気に熱を持つ。

 …な…なんで…?…
 …ヤダっ…なにこれ?ドキドキする…どうして…?…

 「…あっ…!…そっ…そうだっ…あのっ用事があったんだわっ!ごめんなさいっ!あのっ!あのっ!大人しく寝ててねっ!」
 そう言って慌てて部屋を出て行く。

 …正確には出て行きかけてピタリと止まり、私は彼を振り返り…
 「…もう…包帯取っちゃ駄目よ」
 それだけ言って私は今度こそ本当に部屋を出て扉を閉めて…そして私は…自分の部屋に向かった… 

                                       ―続く―

 ―あとがき―
 あう久し振りなのに短いです。申し訳ありません皆様、RINです。
 ラグナロクシリーズ『ラーズグリーズの出会い』第10話です。

 …えー予定通りなら…多分次回で終わりということになると思います。

                                  ―それではまたの機会に―RIN―