青龍の夢―X―
「母様!母様いらっしゃいますか!?」
久方振りに再会した息子を送り出した、その日の午後…大慌てで、息子の言った通りに彼女の娘が、彼女を訪れた。
「何事ですか媚よ、騒々しいですよ」
何故娘がここに来たのかなどとうに知っておりながら彼女はそう問う。
「母様、鸞を貸して下さい!」
必死の面持ちでそう言う娘に落ち着くようにと言う。
「でも母様!兄様が!恩が地上に!人間界に行ってしまったの!!」
「それであなたも人間界に行くつもりなの?」
「そうよ、でもいまの私の能力では人間界には行けないから!だから母様!」
娘の気持ちは解る…愛する者と離れたくはないと言う気持ちは…だが…
「確かに鸞に乗れば地上へは行けます、ですが媚よ、霊獣は容易く扱えるものではありません」
キッパリと言い放つ、出来ればこれで諦めて欲しいと思いながら…
「平気ですわ母様!私は母様の娘!きっと鸞を従えて見せますわ」
自信たっぷりに言う娘に、やはり容易くは諦めぬのかと思う。
「それでも霊獣を貸すわけにはいきません」
「何故ですか母様!」
「それよりも媚よ、私達母娘が会うのも随分久し振りになります、積もる話しもあります、ゆっくりしていくと良いでしょう」
娘にそう告げると、女官達を呼んで娘を案内するように伝えた。
―つづく―
―あとがき―
皆様申し訳ありません<(_ _)>『青龍の夢』大分前回から間が開いてしまいました。
今回はまたも天界(過去篇)でした。
さて今回は用語解説もあります。
鸞=鳥型の霊獣(詳しくはネタバレになりますのでご了承下さい<(_
_)>)
次回は太公望と普賢の出会い篇になると思います。
―それではまた―