―W―

 草原で少女が一人泣いていた、少女の他には羊が一匹いるだけだった…
 「…泣いているの?」
 不意の声に少女は顔を上げた…
 
 草原で一人の青年が羊に囲まれて眠っていた…
 そこに、道化のような奇妙な格好の人物が、白い虎に乗って現れた。
 「太上老君、お久し振りですね」
 道化のような人物は、眠っている青年・太上老君に話しかけた。
 「…何の用?…申公豹…」
 太上老君は、眠たそうな様子で申公豹を見る。
 「羌の王女は助けたそうですね」
 「…別に助けたわけじゃないよ…」
 「そうですか?でもあなたは、あの少女を桃源郷に連れて行きましたね、何故ですか?」
 「…眠い…おやすみ…」
 「…太上老君」
 眠ってしまった太上老君に申公豹は嘆息を吐いて去って行った…
 
 ―…老君…太上老君…―
 眠りに就いた太上老君の夢の中…誰かの声が響く…
 その声の主を太上老君はよく知っていた…
 ―太上老君…感謝する―
 そう告げると、声の主の気配は直ぐに消え、太上老君は一人夢の中に立ち尽くした…
 
 崑崙国・玉虚宮の謁見の間には崑崙の最高幹部である大仙達が勢揃いしていた…
 突然の呼び出しに、大仙が一同に会する…こんな事ははっきり言って稀だった。
 だから彼等は、これから何が起こるのかと、その実かなり緊張していた。
 全員が揃い暫くして、教主が一人の少年を伴い、皆の前に現れた。
 「こやつは太公望、わしの新しい弟子じゃ」
 教主はそう言って少年を皆に紹介した。
                                              ―つづき― 
 ―あとがき―
 皆様、御免なさい、前回、7月上旬UPと予告しておきながら、下旬になってしまいました(T_T)
 おまけに何か今回短いですし…
 …済みません…今回は予告も無しです…