―…師匠に耳にタコができるほど言われたことがある…


 
―師の教え―
      ―1―
 


 …アレン…『お前』の内(なか)の『光』と『闇』を常に『意識』し続けろ…

 …『光』はともかく…『闇』もですか?…

 …そうだ…忘れるなよ…

 …『闇』を『意識』して『制御』する…決して『暴走』させるな…

 …『人間』は『誰』もが『闇』を持っているんだ…

 …捨てることも消すこともできん…

 …師匠も…ですか…

 …ああ…そうだ…

 …そんなふうには見えません…

 …馬鹿かお前…お前に分かるようじゃ簡単に伯爵につけ込まれるだろうが…

 …あっ…そうですね…

 …それに…規格外の『光』を持ってる『お前』とは違う…制御はさほど難しくない…

 …『光』…ですか?…『僕』が?…

 …そうだ…だからこそつけ込まれた…

 …それ…どういう意味なんですか?師匠?…

 …『お前』の『光』…『愛』が強く深いものだったからこそ…『哀しみ』で深い『闇』に『お前』は『堕ちた』…

 …一度堕ちて『種』を植え付けられている以上…『お前』の『闇』の内(なか)には、その『種』が『存在』する…
 …こればっかりは…俺の『術』でもどうにもならん…
 …下手に『手』をつければ…それこそ『暴走』して『お前』の『精神』がどうなるか分からんからな…
 …幸い『お前』の『光』は規格外に強いし、イノセンスもある…
 …『お前』の『心』が『光』で満たされている限りは問題ないだろう…
 
 …?師匠?それでどうして『闇』を『意識』するんですか?『意識』なんかしてたら返って逆効果なんじゃ…

 …馬鹿弟子が…さっきも言っただろうが…『制御(コントロール)』するために『意識』しておく『必要』があるんだ…
 …『怒り』や『哀しみ』は容易く『憎しみ』を喚ぶ…『お前』の場合は『特に』だ…

 …『教団』に行くにあたって『感情』の『制御(コントロール)』は徹底しろ…

 …アクマや伯爵が絡んで『悲劇』にぶちあたらないなんてことはない…

 …注意しすぎるということはない。いいな馬鹿弟子…

 …はい…師匠…

                                            ―続く―