…嗚呼…僕は…

 ―「そうだね」とマナと二人で笑った『あの日』の事も…師匠に…耳にタコができるくらい何度も言われた『言葉』も…

 …どうしてだろう…?…

 …すっかり…忘れ掛けていた… 


 
―『種』と『ノア』―
              ―23―
  


 「…アレンくん…クロスはキミに『光』と『闇』を『意識』して『制御』しろって教えた筈だよ。そうすることで『種』を抑える事が出来るって…でもいまキミは『闇』ばかりを見て『光』を忘れてる。『闇』を恐れて…そして『闇』からも『本当』の『意味』では目を逸らしてる。だからキミは忘れてしまったんだキミの『闇』は元々は『光』の裏返しだと言うことを…そしてだから今キミはそんなに『自信』が無くて。そして恐れているんだ」
 コムイさんの『言葉』に僕は思い出す…

 …師匠の『言葉』…マナとの思い出。

 「アレンくん何度でも言うよ。キミは本来はとても『強い』んだ」
 きっぱりとコムイさんは言う。

 …どうして…?…コムイさんも…師匠も…マナも…みんな…

 …「…でもマナ…僕は素直なんかじゃないし強くも優しくもないよ?…だって僕はみんな嫌いで…恐くて…だから…逃げてきたんだ…」
 僕はマナと笑って…それから先を歩くマナの背中を見つめ…ポツリポツリとそう呟いて…
 「…マナについてきたのは…ホントになんでかマナはイイ人だって…大丈夫だって思ったから…」
 そして俯いてそう続け…
 「…マナ…僕は…嘘吐きなんだ…強くも…優しくもなくて…素直でもなくて…捨てられたくないから…マナに嫌われたくないから…だから…マナの前ではイイコにしてるだけの…嘘吐きの…化け…」
 俯いて涙をポロポロと零しながら僕がそこまで呟いた時…
 「…アレン。…それ以上自分を傷付けないで下さい」
 マナがそう言って僕の言葉を遮った。

                                       ―続く―