―男は追われていた…
 …男は音隠れの里に属する忍だった…
 …男は里長である大蛇丸より命を受けて、木の葉崩し再開の下準備の為に、木の葉隠れの里に潜入し、木の葉の機密を盗んで来る様に命じられていた…
 …そして首尾良く任務を果たし帰還すべく夜道を急いでいる時だった…
 …事前の調査で手薄だからと、指示された逃走経路を通り木の葉の里を離れ、暫く経ったその時…

 …それは現れた…

 …黒い長衣を纏い狐の面を着けた小さな暗部が…

 …暗部は言った…
 「此処で終わりだよ」
 …その声は…その姿同様子供の様であったが…その響きには…子供特有の甘さ等は欠片も無く、かわりにあったのは到底子供には持ち得ぬ様な冷たい冷酷な何かだった…
 「もう逃げられないよ」
 …どこか楽しそうに詠うように言うその子供の様子に男は凄まじいまでの圧迫感を感じ瞬間どうして良いのか解らなくなってその場に立ち尽くしていたが、直ぐに正気に返り仲間との合流地点目指して駆けだした…
 …己一人では勝てぬと判断した為であった…
 
 …そうして再び闇の中を駆けた…

 …しかし…男は逃げ切れなかった…

 …逃げ始めて直ぐに四方八方から縦横無尽に降り注ぐ様に、何処からともなく投げられる手裏剣の数々に…あるいは避けあるいは跳ね返しつつ無我夢中で移動を続けていた…
 …そんな状態で…男は冷静さを欠いていた…

 …だから気付けなかった…

 …巧妙に…己が…ある地点に誘導されているという事に…

 …そして其処に着いた時…その攻撃は止んだ…

 …男は怪訝な顔をしながらも油断無くクナイを構える…

 …暗部の姿は何処にも無い…しかし…

 …次の瞬間…男の首は何かに切断され地上にと落ちた…あっさりと…

 …男には何が起こったのかまるで解らなかった…

 …解らぬ内に意識は途切れていた…


 …そうして…何処からともなく影が現れる…小さな影が… 

 「だから言っただろ『此処で終わりだよ』って」
 …詠うように…楽しそうに…そう言ったのは…
 …細く煌めく何かを…指先に絡めた、先程の小さな暗部だった…

 
 
追跡任務―序―


 …五代目・火影となった綱手は火影の執務室で深刻な表情(かお)で執務を行っていた…
 …視線は机上の書類に向けられていた…
 …しかし不意にその面を上げる…
 …視線の先には一人の小柄な暗部… 
 …一見して子供だと解るその暗部は跪き…
 「火影様任務終了致しました」
 そう短く告げ報告書を提出し立ち上がった…
 …退出しようと…
 しかし綱手はその暗部の退出を許さなかった…
 「…待ちな!」
 短く告げられたその言葉に暗部は仕方なさそうにその場に残る。
 その様子に綱手は真剣な面持ちで暗部を見つめつつ…
 「…お前にはもう一件やって貰う」
 そう告げ…
 …そして…
 …先程新米中忍の奈良シカマルに告げたと同じ内容を続けて告げた…
 …そう…
 『うちはサスケが里を抜けた』と…

                             ―続く―

 ―あとがき―
 こんにちはRINです、WJ39号に触発されてプロット打ち立てたネタバレ話です。
 ナルトのナの字も出てきませんでしたが、ちゃんとナルトが出てきているのは、スレナルという言葉だけで解る方には解ると思います(笑)
 今回謎の暗部(笑)が使った攻撃は、影分身とナルトが15巻で使った『うずまくナルト忍法帖・四方八方手裏剣の巻』と13巻で三代目が使った『手裏剣影分身の術』を応用した複合技と『鋼糸』という暗殺用の武器を使った攻撃です。
 『鋼糸』は極細の鋼の糸を用いて行う昔の暗殺技術で、それは非常に扱いが難しく一歩間違うと自分自身を傷つけてしまうというものだという事です。
 …もっともRINのこの『鋼糸』に関する知識は昔読んだとある本に…確かそう書いてたような?と思うような曖昧なものなのですけど…
 …ちょっと資料が手元に無いので…イイカゲンですね…スミマセンm(_ _)m

 ―それではまたの機会に―RIN―