―里の名門『うちは一族』…その最後の生き残りと言っても良い少年が里を抜けた…
 早朝に飛び込んで来たその報せに…五代目・火影である綱手は…昨日の音隠れよりの侵入者達の不自然な行動の意味を悟る…


 
追跡任務―1―


 …昨夕…中途半端な時間に行動を起こし…潜入しての隠密行動にしては不自然に多かった、音隠れよりの侵入者達の異様な…ただ機密を探るだけにしては…大仰で人数も多いその行動と…
 …火影邸最奥への侵入・最重要機密奪取などという超極秘隠密任務を行った者達にしては不手際も多く杜撰な動きに、しかしそれもまた、あの大蛇丸の事、何らかの意味があり…またそれだけが目的とは思えぬ程の侵入者の数とその動向に、他にも何か目的があるのではと思い…
 …綱手は夕闇に紛れ侵入し、機密を盗んで行った音隠れの忍達に対し…
 …現在の…動ける忍の限られた木の葉の現状と…何より音忍達が盗み出して行った、機密の内容が内容であったが為に…
 …この非常時ゆえにその総力を持って動ける限り、本来ならば動かぬ様な事にまで、その力を総動員してあたっていた『木の葉の切り札』と呼ばれる『木の葉の謎の凄腕』と『彼が率いる謎の極秘部隊』に関する内容であったが故に…
 …綱手は無茶を承知で『彼』に『彼等』への任務追加の要請を下し…
 …そして『彼』はその状況が状況故に、その他の任務を他の者に任せ、自ら唯一人で…
 …大蛇丸の思惑を探るべく…木の葉の領域ギリギリまで泳がせ、その目的を探り…且つ決して木の葉の領域外には出さず、『機密』を取り戻し、潜入者達を鏖殺すべく向かったが為に昨夜は里には不在であった『彼の存在』…
 
 …そして『不確かな噂のみとはいえ他国にも知られている、木の葉の切り札と噂される』『謎の凄腕』である『彼』の不在時に起こった『うちはサスケ』の『里抜け』…
 …その背後で動いていたと思われる『音隠れ』と…
 …昨日から昨夕にかけて『不自然な潜入・隠密行動を取った音忍の行動』と彼等が奪って行った物が『存在すらも怪しい機密』である『木の葉の切り札に関する詳細を書き記し封じた巻物』であった事…
 …そして『火影邸侵入者達の侵入時と機密奪取時の手際の良さに相反するかの様に、一見すると守備の手薄な所を選んだ様にも見えるが…その実は里に潜入した隠密が逃走するには尤も困難な…尤も厳重な所を通ると言う…穴だらけの逃走方法を取った彼等』に対し泳がせてその目的を探っているとはいえ、未だ戻らぬ『彼』に…
 …それが偶然などではない事を悟り…

 「…あいつが戻ればはっきりするだろうがね…」
 綱手は嘆息を吐いて呟き…
 …恐らくは…陽動…
 …胸中で更に続ける… 
 …大蛇丸は噂の方だけしか知らない筈だからね…それでもそう呼ばれる忍がいる事は確か…その存在を確かめる為と…『うちはを抜けさせる為に里を手薄にさせる為の』陽動…その為だけに…部下を捨て石に使ったって所か…
 
 …そこまで考えた時だった…
 …部下に呼びに行かせた、新米中忍の少年が到着したのは…

 …そして数分後…下された初任務を受けて退出するその背を見ながら…また思考に没頭する…
 
 …上忍は動かせない…
 『お前が優秀だと思う下忍を集めるだけ集めて里を出ろ!』
 …普通の上忍は…
 『…一人…私の推薦したい奴がいるんだが…』
 …動かせるのは『あいつ』ぐらいだが…
 …その『あいつ』もいまはいない…
 …まあ…そろそろ帰ってくる頃だと思うが…
 『…下忍第七班の『うずまきナルト』だ…』
 …現在…家には『あいつの影』がいる筈…
 …そう考えていた丁度その時…目前に現れたその存在…
 
 …ようやく帰還した件の人物…
 …他国にはその二つ名のみが知られる忍…
 『奥のツイナ』
 …暗部所属・特別上忍『ゆいけいツイナ』…そう三代目が亡くなる迄名乗っていた忍…
 …薄紅の狐面に黒い長衣を纏った…
 …『木の葉の奥(切り札)』と呼ばれ、また『それを引き継ぎ、率いる存在』…

 『初代火影より連綿と続く…火影の奥の手…遺産の伝承者…それを引き継ぐ者…継承者…』

 『定まりたる名持たぬ』名門…その当主の称号『おくつぎ』継承者…である『彼』が立っていた…

                                  ―続く―
 ―あとがき―
 皆様こんばんは、RINですm(_ _)m
 …ああ…書いてる内に長くなって…日付が変わってしまいました…予定が変わってしまいました!スミマセン<(_ _)>
 …それにしても…今回全然話が進まず…結局説明ネタだけで終わってしまいました…
 …そして…今回の話で一気に『謎の凄腕』(笑)に関する設定を出してしまいました…(尤もまだまだ秘密は沢山あるんですけど…設定を出す度に謎が深まってますけど…取り敢えずはまだまだ秘密です…何れ何らかの形で書きますのでそれまでお待ち下さいm(_ _)m)

                        ―それではまたの機会に―RIN―