「…デハvアレンv随分久し振りですガv出来ますよネv」
…その言葉にハッとする…
…『彼』が言わんとするところを…その意味を…『僕』は…知っている…
「…はい…千年公…」
…知っていて…頷く…
…喩えみんなを助けるためとは言え…
…『彼』の…『千年伯爵』の『望み』に応じて…
…この『力』を『使う』ということは…
…みんなに…なんて糾弾されても仕方ないな…
…くすり…と…自嘲の笑みが…微かに浮かぶ…
運命の分岐(わかれみち)
―第1章―
―第1話―
…キィーン…キィン…チッ…チッ…
唐突に『方舟』中が不可思議な『明滅』と『音』で満たされる…
「…な…なん…レロ…なんレロ!?…」
…突然のことに…あまりのことにすっかり脅えて隅っこでぶるぶると震えていたレロがキョロキョロとしながら、その姿を現す…
「…な…なんなの…これ…」
「…うっ…ぐっ…なっ…なにが起こったっスか!?…」
…なにが起こったのか…それが解らないのは…リナリーとチャオジーも同様で…
…二人に向かって…迫ろうとしていた…『ティキ・ミック』は…唐突に立ち止まり…
…そして…
…『何か』に気が付いた様に…顔を動かす…
「…うっ…なっ…なにをっ…見てるんスかね?」
「!アレンくんっ!ラビッ!」
…リナリーは気付く…『ティキ・ミック』の視線の先…
…それが…倒れ伏している…二人の『仲間』の方であることを…
…そして…その時…
……ユラリ……
…そんな擬音が聞こえそうな…感じで…
…アレンの『左手』が『変化』した『剣』が…
「…宙に…浮いて…嘘…これ…なに…」
…黒い部分と白い部分が反転し…
…その瞬間…
…黒と白の…閃光が…その『剣』から放たれる。
―続く―