「…僕は『ノア』です…『ノアの一族』なんですっ…」
 聞こえたその言葉…
 …『それ』は確かにモヤシの声だった…
 『モヤシのイノセンスは『ハート』を見付け覚醒させる『鍵』』…そうクロス元帥は言ったとラビは言った…
 …だが…いまのモヤシの言葉は…
 …一体どういうことだ…?…
 「…ちっ…」
 考えていたって解らねェ…
 …なら…
 ―ザッ!
 目の前にいるモヤシ本人から聞き出すのが一番手っ取り早い…そう思った時…気が付いた… 
 「…どういうことだ…モヤシ…」
 モヤシの目が…泣き腫らして…赤くなっている事に…


 
―11年前の『奇怪』―
              ―14―
 


 「…どういうことだ…モヤシ…」
 困惑した様子で神田が言った…
 神田ならもっと勢いよく詰め寄ってくるかと思っていたから…正直ちょっと戸惑ったけど…
 「…どういうもなにもそのままです…僕は『ノア』です…」
 …でも僕は神田の困惑を無視してそう言う…
 「…神田…少し落ち着きなさい…」
 すると今度はティエドール元帥がそう言って神田を宥め…
 「…いま…キミが言ったことは本当かい?ウォーカー…」 
 僕と師匠を交互に見て…
 「…我々がマリアンから聞いた話が本当なら、キミはノアでは有り得ないと思うんだが…」
 ティエドール元帥はそう言い…
 「キミは何故自分をノアだと思っているんだい?」
 間違いなく適合者なのに…と続けた…

                                            ―続く―