―ピイイイッ!!
そんな音と共に…ロードの『扉』が…僕の後に出現し…
僕の背後で…ゆっくりと『扉』が開く…
―11年前の『奇怪』―
―17―
「…起こしに来たよー!アレンv」
…そう言って『扉』から出てくるロード…
「約束だったよね♪これからいっぱい遊んでくれるんだよね♪」
…そう言ってにっこりと笑うロードの笑顔…
「…ロード…」
…『僕』を…『クラウン・ノア』ではなく…『兄のように』慕ってくれた愛しい子…
「…なぁに?アレン?」
…キミの笑顔を…壊したくはない…
…でも僕は…
…もう…師匠やリナリーに…嘘は吐けないし…
…なにより…ノアとエクソシスト(キミ達)が争うところを…もう見たくない…
…だから…
「…ごめん…」
…僕がそう言った途端に…ロードが目を見開く…
「えっ!?」
「…さようなら…愛してるよ愛しい子…」
「…ア…レ…ン…?」
僕の好きなキミの笑顔が…壊れる…
「…お別れだよ…」
「…アレン…なに…を…」
―スゥー…
「…僕はもう起きるけど…でも…千年公の所も出て行くよ…」
…うっすらと…僕の姿が透けていく…
「アレン!やだ!なにを言うのっ!?やだ行かないでよ!!」
…ロードがボロボロと涙を零す…
「…約束…守れなくてごめん…でも…もうこれしかないから…」
そう言って僕はロードに微笑い掛ける…
「止めてよ!アレンがっ!いなくなっちゃう!行かないでよ!千年公だって!僕だってホントはクラウンの鍵とかノアの復活とかどうでもいいんだ!アレンがアレンのままで!ノアの王子のままでいいんだっ!」
…『ノアの王子』のままでいい…その言葉がどんなに嬉しいか…
「…ありがとう…ロード…ごめんね…キミから…『お兄ちゃん』も『お父さん』もどっちも取り上げちゃうね…」
…キミの『お兄ちゃん』に戻ってあげることも…『お父さん』を覚醒させることももうできない…
「ヤダッ!ヤダよー!なんでそんなこと言うのッ!!」
僕の言葉にロードが泣きじゃくる…
「…僕はもう一度『眠る』よ…目覚めるのが…きっと…早過ぎたんだ…」
泣きじゃくるロードに更に告げて…
そしてもう一度みんなの方を見て…
「…リナリー…ラビ…チャオジー…クロウリー…神田…ブックマン…ミランダさん…ティエドール元帥…マリ…キエさん…マオサさん…そして…師匠…有り難うございます…」
…来てくれて…嬉しかった…
「…さよならみんな…」
…そう言って…僕はゆっくりと瞳を閉じて…
…そして開く…
…目に映るのは…僕を覗き込む…
「…『アレン』…」
…悲しそうな表情(かお)の…『彼』の顔…
…ゆっくりと…頬を伝う涙を…僕は乱暴に拭った…
―続く―