「千年公だって…本気で『クロノ=クラウン』を復活させるつもりなんてなかったのにっ!」
開かれたままのロードの『扉』を潜ると…耳に飛び込んできたのは悲痛なまでのロードの叫び…
…そう…我輩は…『クロノ=クラウン』を復活させるつもりなどなかった…
…それは『あの子』を最も苦しめることに繋がるから…
―11年前の『奇怪』―
―19―
「ロード…その辺りで止めておきなさイ…v…」
泣きじゃくるロードの肩に手を置いて言うと…
「…千年公ぉ…だって…だって…アレンが…」
振り向いたロードは大粒の涙をボロボロと零しながら、我輩のお腹に顔を埋めて泣く…
そんなロードを宥めるために…我輩はロードの背中と頭を優しく撫でながら…
「…こんな奴らに全部教えてやることはありませンv」
そう言うと…顔を上げ…目の前にいる憎らしい男を睨み付ける。
…いっそ今すぐ殺してやりたいと…そう思いながら…
「…まあ…尤も…お前は殆ど気付いているのかも知れませんがネ…v…」
最も厄介で…正体の知れないこの男なら…あの『裏切り者』から得た情報から『あの事』に行き着いていてもおかしくはない…
…いや…恐らく…気付いているのでしょウ…v…
だからこそ…こいつは確信を持って『あの子』を『ノアの一族』ではないと言い切った…そう考えて言った我輩に対して…
「アレン(あいつ)は俺の馬鹿弟子だ。それ以上でもそれ以下でも無い」
キッパリと言い放たれたクロスの言葉…
『…もしも…『これ』を『あの子』が聞いたら…』
…その先に待っているであろうことを思うと…今すぐに『この男』を殺してやりたいと思う…
『…だが…いまはそれはできない…』
…だから…その衝動を内心…必死で抑えながら…表面上は普段通りを装って『そいつ』を見遣り…
「…殆ど気付いていてその言葉が出てくる事に関しては…大したモノだと思いますがネ…クロス…お前一人が『あの子』を受け入れても…『運命』は変わらない…むしろ『あの子』を追い詰め…加速させるだけなのでス…『あの子』を思うのなら『あの子』をソッとしておきなさイ…v…」
…そんなに『あの子』を想っているのなら…ソッとしておけと…『真実』を知らぬ『この男』に言った所で、無駄と知りつつも告げると…
「…そうして貴様があいつをいいように利用するのを黙って見てろと言うつもりか」
…やはり案の定…思った通り…
「……利用…?…ホッ…ホッホッホッ…」
クロスの言葉に…我輩はおかしくて笑いだしてしまう…
「…なにがおかしい…」
笑う我輩にクロスが怪訝な表情(かお)をする。
…なにがおかしいか…ですカ…v…
…クロス…『お前』は気付いたと言っても…所詮『それ』は『真実の一欠片』…根本的な所を解ってはいなイ…v…
…『利用』などと言う『言葉』がでてくるのが…その『証拠』…
「……お前は何も解っていないのですよ…クロス…何も…まあ…教えるつもりもありませんガ…v…」
…我輩は…『彼』とは違う…とっくの昔に…『お前達』に見切りを付けている…
…『お前達』は『何も』出来ないし…『何も』解っていないと…我輩は嗤った…
―続く―
―後書き―
お待たせしてしまい申し訳ありません、RINです。
短期集中連載中だったのに…体調不良が原因で暫く書けず…随分遅れてしまいました…(…ホントだったらこの第19話は9月中に仕上げるつもりだったのに…)
…一時はもしかしたら9月中に連載終われるかも…なんて思ってたのに…急に体調を崩してどうしても書けなくなってしまいました…
本当に申し訳ありませんでした。
…今回本当にお待たせしてしまいましたし…後もう残り少ないので1話でいけるかなと思ってたら、なんとか書けましたので、どうせですし今回は同時UPします。
―そう言うわけですのでこの『11年前の『奇怪』』第19話は第20話と共に入荷致しますので、引き続きどうぞ…
…かなり無理矢理1話に収めたので…ちょっと無理があったかなぁ〜とも思っていますけど…この話…後もう1話付け加えると…短すぎてどう考えても蛇足な感じになってしまうので…そこら辺は『悪魔の子』に引き継がれると思って下さい…
―それではまたの機会に―RIN―