やって来た俺達を一瞥し…クロス元帥は舌打ちをした…
 
 そうして暫し何事かを考え込んでいたかと思うと…リナリーになんだかよく解らねェがモヤシのことを聞き…
 そして…
 「おいっ!俺は先に馬鹿弟子の所に行くぞっ!お前達は後の連中が来てから来いっ!」
 そう言って有無を言わさずこの場から駆け去って行った…


 
―11年前の『奇怪』―
              ―4―
  


 …モヤシはいない…話があるということだったクロス元帥も行ってしまった…
 …これは一体どういうことだ…?…
 そう思いリナリーを見る…
 「…さっきのはどういうことだ?リナリー」
 …さっきのクロス元帥との会話…間違いなくリナリーは『何か』を知っている…
 …あのバカ兎が敢えて話さなかった『何か』を…そう思い問い掛ける…
 「…知らない…」
 そう言ったリナリーの声は…掠れていた…よく見るとリナリーは蒼白で震えていた…
 …一体『何が』あった…?…
 さっきとは別の意味で…『そのこと』が気に掛かる…
 「リナリー」
 もう一度名前を呼ぶことで…再び促す…
 「…知らないっ…解らないっ…」
 …だが…俺のその問いに…リナリーはそう叫び頭を抱えて座り込み…
 「…っ…解らないのよっ…!!」
 そう悲痛な叫びを上げた…

                                            ―続く―