「…さっきのはどういうことだ?リナリー」
 …神田のその問いに…私が答えられるワケが無かった… 
 「…知らない…」
 …だってもう…『何が』どうなっているのか解らなかった…
 「…知らないっ…解らないっ…」
 …アレンくんの話とクロス元帥の話は…微妙に違っていた…
 …でもっ…
 …確かなことは…私は結局…『何も』出来なかったということ…

 …アレンくん…私達…仲間でしょ…?…
 …どうして頼ってくれないの…?…
 …どうして…いつも一人で戦おうとするの…?…

 …次々と知った…驚きの事実に…リナリーは混乱し動揺し…己の無力に涙した…


 
―11年前の『奇怪』―
              ―5―
 


 …違和感は感じていた…すぐには気付けなかったけど…『何か』がおかしいと…そう思った…
 「おーいってっ…あれ?元帥は…?…」
 遠目からも目立つ…ユウとマリの後ろ姿が見え始め声を掛けようとして…『そのこと』に気付く…
 …この中の…『誰』よりも目立つ筈の存在…
 オレに皆を呼びに行くように命じた…赤毛の元帥が…何故かこの場にはいなかった…
 …どういうことだ…?…
 オレは『そのこと』を訝しく思いながらも『彼ら』の下へと進む…
 座り込んで泣くリナリー…寄り添うミランダとクロちゃん…いなくなった元帥…
 …一体『何が』あったんだ…?…
 そう思っていると… 
 「…神田…マリ…マリアンは…」
 クロス元帥の不在をやはり訝しく思ったらしいティエドール元帥が…ユウとマリにそう問い掛ける…
 「…知らねェ…」
 「…それが…我々がここに来て…すぐに…先に行くと…」
 ティエドール元帥の問いに…ユウの方は短く…マリは…少し困ったようにそれぞれそう答え…
 「…どういうことさ…?…リナリー…」
 オレはリナリーの傍に行き…膝をついてリナリーに問い掛けた…

                                            ―続く―