俺が放り投げた手紙を開くなりアレンの顔色が変わった。
内容自体はそれ程驚く程の物でもなかったが…
…まあ…大方アレン(こいつ)のことだから変に深読みしてやがるんだろうな…おうおう物言いたげな目でこっち見てやがる…
そのアレンの様子にクッと笑い…
…まあ…差出人が差出人だからな…
そう思いながらワインを傾け…
「…ついでだアレン…その件が終わったら…そろそろいい頃だろう…『教団』に行って『正式』に『エクソシスト』になってこい」
思わせ振りに笑ってそう告げた…
『正式』にと言う『言葉』に兼ねてから言い含めて置いた…言外の意味を含ませて…
そうして俺のその言葉に、一瞬目を瞠り…そして真剣な表情で頷いたアレンのその様子に俺は満足した。
―『アレン・ウォーカー』の『旅立ち』―
―3―
手紙の内容自体はさして珍しい物でもない内容だった…
―手紙の内容は『ある街にアクマが異常に増えている』と言う内容(もの)…
それだけなら『イレギュラーズ』の『任務』として扱われることはない…『教団本部』に『報告』して『本部のエクソシスト』を派遣して貰えばいい…それなのにそれをせずに『イレギュラーズ所属のエクソシスト』に『任務』がまわされると言うことは…『それなりの裏』があるということ…だけど…
…だけど…この差出人…
………『裏』なんか…ないのかも知れない…
その可能性も充分にある…
そう思いつつ…恐らく『ああ言った』以上事情をすべて把握しているだろう己の師を胡乱な目で見遣り…
…でも…とも思う…
この手紙の相手と師匠…この人達なら『大したこと無い内容』でも『ついで』だからの一言で『僕を便利に使うため』に『こういうこと』をしそうだけど…
…『この街』には『あの人達』が住んでる…そしてもし伯爵が『あの人達』と『僕ら』の『関係(こと)』を知ったのなら…『彼ら』が住む『この街』が狙われるのは充分有り得ることなんだ…
…もしそうだとしたら…一介のエクソシストに行かせるのは少し問題があるから…それなら『僕』がと言うのは…まあ解るけど…
…でも…僕はできるなら伯爵となるべく関わらない方が…(…特に『神ノ道化(クラウン・クラウン)』を発動している所はできる限り見られない方が…)…良いんだけど…
…まあ…『この任務』なら『フンディン=クラウン』じゃなくて『アレン・ウォーカー』でも平気かも知れないし…
…などとつらつらと考えていたら…そんな僕を面白そうに見ていた師匠がくつりと笑ってそして…
「…ついでだアレン…その件が終わったら…そろそろいい頃だろう…『教団』に行って『正式』に『エクソシスト』になってこい」
優雅にワインを飲みながらそう言った…
―続く―