「…フ〜ン…ここがマテールか…」
 …マテールの街の一隅に『方舟』の『扉』が現れ…『其処』から出てきてアレンは言った…
 …マテールは廃棄された街だ…いまはアクマと『教団』の者達がいるが…それさえ気を付ければ人気は無い…見咎められる心配が殆ど無いので、アレンは安心して堂々と『方舟』で『直接』やってきたのだ…
 …一定の個所にいる一部の人間に見付からない様にするのは…アレンが『方舟』に付けた隠蔽機能により造作もないことだった…
 

 
…ディスティニー…
         ―マテール編―
               ―1―



 …アクマが何体か集まってある一箇所を集中で攻撃しているようだった…
 …遠目なのでよく判らないが…そのアクマが攻撃している場所は不思議な光に守られて、その攻撃が届いていないようだった…
 「…話しには聞いてたけど…『あれ』がタリズマンってやつか…実際に使ってるところは初めて見たな…」
 …師匠のサポーターの人が持っているやつを、見せて貰ったことはある…だが…そう言えば…実際使っているところは見たこと無かった…
 …理由は…アレンもクロスも…そして二人がいる場では、サポーターでさえも『それ』を必要としなかったからだ…
 「…う〜ん…どうしよう…エクソシストはまだみたいだけど…その内来るよね…あの様子じゃ…いまのうちにアクマを止めて『人形』の所に行こうかな?…でも…人間の目があるし、あの『結界』の解除コードを聞き出すにはエクソシストのフリをした方がいいのかな…って!あれっ!あそこで指示してるレベル2!なにしてるのかと思ったらっ…ってマナなに?突然?髪を引っ張らないで!イタイよ!」
 …つらつらと考えながら様子を見ていたアレンだったが…あまりに悪趣味なアクマの所行に止めに入ろうとした時…不意にすぐ隣を飛んでいた『マナ』に髪を引っ張られ…『マナ』を振り返り涙目で痛みを訴える…
 「アレン…落ち着きなさい…『何か』聞こえた…」
 『マナ』の言葉に…アレンは『マナ』の集音機能が、一体『何』の『音』を拾ったのかと耳を顰める…
 …『マナ』がこう言って自分に報せる以上…『それ』はこの場には無い筈のものだということだから…

 …そう…例えば…人の話し声とか…
 
 …そして程なく…アレンはその『声』を聞いた…

                                             ―続く―

 ―あとがき―
 どうも皆様RINです。
 お読み下さりどうも有り難うございます。
 
 『方舟』の隠蔽機能と言うのは見付かりにくくするためのものです。
 …肉眼でばっちり見られたら流石に変なモノがあると騒がれます…その為アレンくんは人気の無いところにのみ『扉』を開きます…
 『扉』はWJに出てきた『ノアの方舟』のあの黒いヤツと同様だと思ってください…
 …アレンくんは基本は『ノアの方舟』をモデルにしましたので…そう言った部分は同じと言うことで…
 …RINはアレは、『方舟』のいっぱいある出入り口の『扉』なんじゃないかと考えていますので…一応そう言う感じで…

 このシリーズのアレンくんはノアなので…と言うか…どっちかというと師匠の影響かもしれませんが…結構ドライなところがあります…
 …でも人間が嫌いなわけではありませんし…基本はやっぱりアレンくんなので…(…人間は環境だのなんだのが違っても…その人の根本・基礎は一緒だと思います…たとえパラレルワールドであっても…たとえ別人のような性格になっていても…)…アクマが人間を襲ってるのを見過ごすことはあまりないです…(…本人は伯爵へのいやがらせとか色々理由を作ってますが…)…ただ本来のアレンくんより冷静な所がありますので…時と場合をきちんと弁えて行動します…その一端が今回と次回で現れています…尤もやっぱり無茶する時はしますが…

 …さて次回は…エクソシストが二人出てきます…
 え?二人?…そう二人です…アレンくんが『教団』にいない以上、神田が1人で…と言うことにしてもよかったんですが…チョット話しの都合で…出しておきたかったんです…
 …さてもう1人は誰でしょう?
 答えは第2話をお読み頂ければお判りになると思います。
 
                                  ―それではまたの機会に―RIN―