「…六幻!『抜刀』」
…どこかから…微かにその声は聞こえた…
『イノセンス発動』
…そしてイノセンスの発動を表すその…『独特』な『気配』…
…さっきの声は一つ…だが『気配』は…二つ…
…ならば…どこかに二人…既にここに来ているのだろう…『エクソシスト』が…
…アクマに無惨に痛めつけられていた人達には気の毒だったが…『マナ』があの時止めてくれなければ…僕は見付かっていた…確実に…
…でも…鉢合わせしてしまったことに違いはない…
…どうしようかと暫し考える…
…なんとか…彼等に見付からずに『人形』と『接触』できないものかと…
…ディスティニー…
―マテール編―
―2―
「災厄・招来」
「演舞」
「界蟲『一幻』!!」
「『霧風』!!!」
…二人のエクソシストが戦っているのを遠目に見る…
「…女の子のエクソシスト…あの子のは…あの『靴』か…それに…刀型のイノセンスを持っている方…あれ日本人だよね…珍しいな…あっ!男の方が結界を解除したっ!ああっ!あいつ!あの男!1人で逃げた!」
…戦いの様子を見ていたら…二人はレベル1を早々に倒し…女の子はレベル2との戦いを開始し、男の方…(…アレンは…彼の年齢が自分と大して違わないだろうと思ったが…だが…同時に知っていた…日本人の年齢は判りにくいと…少年なのか青年なのかと迷い…間違っては悪いと考えた…少なくとも自分は間違えられて嬉しくは無かったため…単に男と言った…尤も女の子だけ戦わせてとの思いもあったのだが…)は『人形』の所に行き結界を解除、連れ出し…どこかに行ってしまった…
…それを見てアレンは1人で逃げたと怒る…男のくせにと…もっとも…厳密には『彼』は1人では無いのだが…アレンにとってはそれは大して意味がない…
…『人形』を安全な所へと言うのは解るし…こんな所から黙ってみてる自分が言うのもなんだが…それでもアレンは腹立たしかった…
…自分は彼等の『仲間』でも『味方』でもないが…あの二人は『仲間』なのにと…
…クッと歯噛みし…考える…どうしようと…
「…歯痒いかい?アレン」
…思った通りにしていいんだよ?お前は自由なんだから…そうマナが言う…優しい微笑みと眼差しを向けてくれているように…僕は感じた…
「…『僕』はそんな簡単に『教団』に見付かる訳にはいかないんです…色々な意味で…でも…このままだと…あの子…ねぇ?マナ…『教団』のヤツラはみんなあんななのかな?…だから師匠は嫌いなのかな?…でも…僕だって…こんなところで…」
…僕はどうしたらいいんだろう?…そう言い掛けた時…
レベル2のアクマが女の子に化けて、彼女にその自身のイノセンスの『能力』を使って攻撃した。
「!あれは…!あの『能力』…ねぇマナ…あのアクマの能力面白そうだよね?…『アレ』を持って帰るためなら…師匠も怒らないですよね?…別に師匠の居場所がバレるわけじゃないですし…僕っていう『エクソシスト』の『存在』は知られちゃうかも知れないけど…まあ…いつまでも逃げてはいられないかも知れないし…最悪『ノア』だってことさえバレ無ければ…そして『教団』にさえ連れて行かれなければ…まあ…大丈夫ですよね…たぶん…」
…そう言い訳する様に言って…アレンは少女とアクマの戦いに割って入るべく動き出した…
―続く―
―あとがき―
どうもRINです。
前回のあとがきで書いた『もう1人のエクソシスト』本文をお読み下さった皆様方は、既にお解りでしょう…
…そう『彼女』リナリー・リーです。
今回は名前を出しませんでしたが…読者様にはバレバレですしね…苦笑…
…ちなみにアレンくんが神田を日本人だと遠目から見ているだけなのに、言っているのは半分は感による決めつけです…アレンくんは日本に縁が深いので近くなら解りますが…遠目では流石に、英国人であるアレンくんには東洋系の顔の見分けはつきにくいのですが…刀とか髪型だとかもあって決めつけてます…
…そしてアレンくんが神田を怒っているのは…戦闘を押し付けた相手が女の子だからです…男が相手なら怒らなかったでしょう…WJの原作のアレンくんがそうであったように…
…英国紳士な性格も本来のアレンくん以上です…この話のアレンくんは…
…ちなみにアレンくんは『教団』に見付かるわけにはいかないと思っている割には、目の前のリナリーを助けたいとも思っています…(…助けたら確実に見付かるんですけどね…苦笑…)
…でも女の子が1人で頑張っているのを見て…放っておけないのです…ファインダーの場合はもう致命傷を負っていましたから…但し嬲られてるのを見たらさすがに放っておけず飛び出そうとしましたが…
…マナがこの時アレンを止めたのは…別にマナが冷酷な訳ではなく…冷静だったというだけです…また優先順位の問題でもあります…
…マナにとってはアレンが一番大事なので…まあそれはアレンもですが…
…まあとにかくアレンは助けに入りたいので『理由』を見つけた途端…さっきまで悩んでたのはなんだったんだと言うぐらい、あっさり助けに入ります…
…それでも…できるだけ見付かりたくないなと考えながら…次回行動します…
―それではまたの機会に―RIN―