「ちっ!リナリー!トマ(そいつ)を連れてこの場を離れろっ!邪魔だっ!!」
 神田のその言葉に私は頷いてトマを連れてその場を離れた。
 …神田は口が悪くてぶっきらぼうな所もあるけど…本当は優しい…私はともかく戦えないファインダーのトマがあそこにいて、戦いに巻き込まれたら…
 …それを気にしてどうしても戦いづらくなる…

 …だから神田はああ言って、だから私は頷いた。

 …もっとも…その言動の所為で神田は、よく人に誤解される。

 
 
…ディスティニー…
         ―マテール編―
               ―10―



 …くすり…
 
 …不意に…先刻会ったばかりの少年のことを思い出す。

 …礼儀正しくて…優しい男の子…全力で私の事を守ろうとしてくれた…

 …アレンくん…

 …アレンくんがもしあの場にいたら…きっと神田のこと怒るんだろうな…

 …きっと神田と喧嘩になるんだろうな…

 …それを思って少しだけ笑ってしまった…

 …だって…あんな神田は初めて見たから…

 …いいなー…そう思って羨ましくなる…出会ったばかりなのに…あんなに『楽しそう』に…
 
 …アレンくん…教団に入ってくれたらいいのに…

 …そう思う…

                                            ―続く―

 ―あとがき―
 どうも皆様、RINです。
 随分久し振りになってしまいました、申し訳ありません。
 マテール編第10話が書き上がりましたのでUPします。
 今回はリナリー視点でお送り致しました。
 リナリーからは、神田とアレンくんがとても仲が良さそうに見えています。
 この理由についてはまたどこかで…お話が進めば書くことになると思います。
 …そして次回もリナリーサイドで…アレンくんの登場はもう暫くお待ち下さい。

                                  ―それではまたの機会に―RIN―