…現れたアクマは…アレンそっくり(但し左右逆)に化け…
 …そうして…アレンを写し取ったその武器で吹き飛ばす…

 …エクソシスト達の目の前で…

 …それは…茶番劇(ファルス)の始まり…

 
 
…ディスティニー…
         ―マテール編―
               ―9―
 


 「うっわー!いい物手にいれちゃったー!!」
 《…アレン様こんな感じで宜しいでしょうか?…》
 …吹き飛ばされたと見せかけて、その場を離れ、アクマとの『会話』を続ける…
 《…ええ、まあいいでしょう、では次は……》
 「…ちっ!あのモヤシ野郎口だけかよ!」
 …ムカ…遠くの出来事も『視る』ことの出来る『力』…取り分けアクマとの『会話中』はその周囲の様子をさして意識せずとも『視られる』この『力』の御陰で不愉快なモノまで視てしまいました。
 …フ…フフフ…まあいいでしょう…偉そうな口を叩けるのも、いまのうちだけです…
 《…やりなさい!アクマ!…》
 《…御意…》
 「界蟲『一幻』!!」 
 神田(あいつ)がそう叫び刀を振るう。
 アクマはレディリナリー、彼女から写し取った『靴』の『力』で、その場から跳ぶ…
 …やっぱりあのアクマの『能力』なかなか面白いな…
 …にしても…あの神田ってやつ…あいつ馬鹿の一つ覚えみたいに…まさか『アレ』しかできないなんて言わないですよね…
 …あれだけ偉そうな口を叩いたんです…ちょっとはねぇ…フフフ…
 「演舞『霧風』!!!」
 ―ドンッ!!
 …おっと…レディリナリーも参戦しましたか…まあ当然でしょうけど…でも…流石にちょっと拙いですね…
 《…アクマ…エクソシストを攻撃する際に、ファインダーを…あの白い団服(コート)を着たヤツを巻き込む様に攻撃しなさい…》
 《…解りました…》
 「死ね死ね死ねー!!エクソシストー!!!」
 そう叫んでアクマは、僕から写し取った『腕』を槍型に変化させ、神田(あいつ)を攻撃し、避けられたように見せかけて、遠く背後にいた、トマに…
 「トマッ!」
 …しかし寸前でレディリナリー、彼女がトマを助ける…
 …彼等にはトマは近くにいたから、偶然とばっちりを受けた様に見えただろう…
 「ちっ!リナリー!そいつを連れてこの場を離れろっ!邪魔だっ!!」
 神田(あいつ)が舌打ちしてそう怒鳴る。
 …正直レディリナリーには、そうして欲しいと思ってアクマにさせた『コト』だったが…神田(あいつ)の言動はムカツク…
 …でも…
 「わかったわ!」
 …レディリナリーはすぐに頷いて、トマの所へ向かい…
 「神田!気を付けてね!」
 …そう声を掛けてその場を離れる…
 …文句を言うどころか、あんなヤツを気遣うなんて…彼女はとても優しくて思いやりがある…神田…あいつは彼女の爪の垢でも煎じて飲めばいいんだ…
 …そんなことを考えながら…
 《…アクマ…逃げた二人は追わなくていいですからね…》
 …念のためにそう指示を出す。

                                            ―続く―