「ハッ!どっからどう見てもモヤシじゃねぇか!」
 「なんですってっ!だいたいあなたこそ…」

 ―…そうして…次から次へと…売り言葉に買い言葉の…喧々囂々の言い争いを繰り広げ…怒りの侭に罵詈雑言を捲し立て…ついには互いにイノセンスを発動させての睨み合いに発展…慌てたリナリーとトマが仲裁しようとする…
 …そんな一方で…
 …アレンはアクマにテレパシーで呼び掛けていた…

 
 
…ディスティニー…
         ―マテール編―
               ―8―



 《…アクマ…『僕』の『コエ』…聞こえますか?…》
 《…ヒィッ!…ま…まさか…貴方様は…》
 《…ネェ…アクマ…もう分かるよね?…『僕』が『誰』なのか…?…》
 《…ノ…ノア様…まさか…ノアの王子…アレン様…》
 《…『僕』…それ嫌いなんだよね〜…ロードや伯爵ならともかく…お前如きが『その呼び名』を使うな…》
 《…ヒィィ…お許しを!お許しを!ノア様!…知らなかったのですっ!貴方がアレン様だと…》
 《…まあイイヤ…そのかわり…役に立って貰うよ?…アクマ…》
 《…ハ…ハイ…なんでも致しますなんでも…》
 《…じゃあちょっと…ここまで来てよ…『僕』の『気配』は解るだろう?もう隠してないし…》
 《…ハッ…ハイ…解ります…すぐに参ります…》
 《…ああそうだ待って…大事なことがあるから…気を付けるんだよ?…『僕』の前にはわけあってエクソシスト達がいる…それで『僕』はいま『普通の人間』の『フリ』をしてる…『ノア』だってことは『彼等』に知らせるつもりはないんだ…そこの所気を付けて…それから…一緒にいるエクソシスト…攻撃して良いのは男の方だけだよ?…長い黒髪に黒の団服(コート)着てるヤツ…ソイツを思いっきり但し殺さない程度に痛め付けて…ああ…でも…いきなりあいつに攻撃するのは変かな…おまえさっきまで『僕』と戦ってたし…?…フフ…だから…まず最初は『僕』に向かっておいでよ…『特別』に許すから…それで『僕』がイノセンスを発動させたら『ソレ』を写し取れ…それがお前の能力なんだろう?…》
 《…ハイ…ノア様…》
 《…それじゃあヘマはしないでよ?…フフ…ああ…それとお前の能力…なかなか興味深いから…このあとは『僕』と一緒に来て貰うよ?…その為にも精々『破壊』されないように気を付けてね…?…》
 《…まあ…いざとなったら…『僕』が一芝居打ってあげるよ…だから…そろそろおいで…フフフ…》
 《…直ちに参ります…》

 
 「…ね…ねぇ!やめてっ!二人ともっ!どうしてイノセンスまで発動させるのっ!?」
 「…レディー…さがっていて下さい…危ないですよ…」
 「…ハッ!気障な野郎だなっ!とんだ軟派野郎だぜっ!」
 「なんですってっ!撤回して下さい!僕は紳士として魅力的なレディーに相応の対応をしているだけですっ!あなたみたいな礼儀知らずと一緒にしないで下さいっ!」
 「かっ!神田っ!止めてっ!アレンくんもっ!お願いっ!」
 「…さがっていて下さい…コイツとは決着を…」
 …そう言い掛けて…僕は止める…
 『!!!』
 …彼等も気付いたようだ…油断無く…警戒しながら辺りを伺っている…

 《…始めろ…》
 《…は…ハイ…》
 
 「あー!お前!さっきの…まだ生きてたのかー!」
 《…では…あの…ご無礼ながら…》
 「…それに他のやつらもいるー!…でも亡霊ちゃんはいないのねー!…まあいいやーお前ら殺してから亡霊ちゃんはゆっくり捜そう!…と言うわけで…お前ら…殺す殺すコロースッ!!!」
 …凄まじいスピードでアクマが移動し…一瞬消えた…ように『彼等』には見えただろう… 

 「…まずは…お前…」
 …そう言って『突然』アクマは僕の背後に現れた…
 …尤も…『僕』には突然でもなんでもなかったのだが…
 《…フフ…ちゃんと写し取ったようだね…》
 《…ハ…ハイ…》
 《…それじゃあ…それで……》
 …そうして『僕』は次の指示を伝える… 
 「…なっ!僕!?」
 「さっきのお返しだっ!」
 …そう言って…アクマは僕を『攻撃』し…僕は…『吹っ飛ばされた』…
 …そういう風に…装った…
 …実際には…アクマの攻撃は当たってない…この場にいる『彼等』には死角になっていた事も重なって…どう見ても僕が攻撃を受けたように見えただろう…
 …そして…『僕』はアクマの凄まじい勢いで繰り出されたその威力を利用し…自分で跳び…その場を一時離脱する…
 
 …後はアクマにアイツを適当にいたぶらせて…それから…フフフ…

                                            ―続く―

 ―あとがき―
 どうも皆様RINです。
 
 …本文中で《……》で表しているのは…WJ原作中でノアが使っているやつを表しています。
 …たぶんテレパシーの一種か似たようなものだろうと思い…取り敢えずそれでテレパシーとアレンくんは言ってます…

 …そしてアクマがそのテレパシーの会話でアレンくんのことを『ノアの王子』と呼んでますが…アレンくんはこの呼び方を嫌っており…一部例外を除いて呼ばせません…面と向かって…この呼び方で誤って呼んでしまったアクマなどは…例外なく酷い目にあいます…
 …伯爵に対しては…また対応がチョット違います…その内書くこともあるでしょう…たぶん…

 ―そして神田ファンの皆様申し訳ありません…でも…神田ってこんな感じだと思いますし…人のことモヤシ呼ばわりしてますし…礼儀に関する指摘はいつかあるんじゃないかと…とはいえ…神田…無事でしょうか…本誌のあの状況を考えると…
 …ああ!…アレンくんが元帥になった時の神田とのやりとりとか、見てみたかったのに…
 …ミランダのあの様子じゃ…うう…神田もクロウリーも…無事だったら…ご都合主義な気もしますが…助かって欲しいです…だってアレンくん…最後まで諦めないって…ああなんて強いイイコ…
 
 …えー…ちょっと本誌や単行本10&11巻くらいの感想も混じってしまいました…

 …イエ…言いたかったことは…ただ…もう…決して神田が嫌いな訳じゃないと…
 
 …嫌いというか…急に嫌いになっちゃったのは…チャオジーです…
 …分かんない訳じゃないですけど…『アレ』はいくらなんでも…
 …ハッキリ言ってむかつきました…
 …どんなことがあろうと…言って良いことと悪いことがあるだろう!
 …そう思いました…でも…あれも人間の一面なんですよね…
 …むしろ…アレンくんが特別…
 …解ってます…それは…
 …それでも…あの言葉だけは…
 …まあ…それは…『古城の吸血鬼』での村人達もですけどね…

 …あー…また感想になってる…

 …でも…まあ…あくまで一面で…全てじゃない…まったく正反対の部分もありますしね…
 …今後のアレンくんが心配です…

                                  ―それではまたの機会に―RIN―