「…使いだ?…それはおまえの都合だろう?知ったことかよ!イノセンスとエクソシストの発見と確保は俺達の任務(仕事)だっ!!」
 …随分居丈高に言う…ヴァチカンの庇護下で…様々な『特権』を与えられやりたい放題だと言うのはどうやら本当らしい…
 …この分だと…本当に適合者を人攫い同然に連れて行ったりもしているんだろう…

 
 
…ディスティニー…
         ―マテール編―
               ―7―



 「それこそ知った事じゃないですよっ!何様のつもりですか?『神の使徒』って呼ばれヴァチカンの庇護を受けてうぬぼれてるんじゃないですか?人には人の事情があるんですよっ!良いじゃないですかっ!僕のこのイノセンスに関しては師匠がいる以上アクマに取られる心配なんて無いんですっ!僕だってそんなに簡単にはやられはしません!…それに第一僕はまだ修行中なんですよっ!!」
 …ムカツクムカツクムカツク…こんなヤツに修行中だなんて言ったら…馬鹿にされて鼻で笑われそうだ…
 …と思ったら…ああ!ホントに笑いやがった!こいつ!
 …クッ…『教団関係者』…(…師匠のサポーター含む…)に対する…『教団』に行かない理由として普段使ってるだけで…僕だってホントはとっくの昔に臨界点突破して師匠にだって一応それなりに誉めて貰っているんです!
 …普段は発動をセーブして左腕だけ不完全に発動させてるだけで!ホントは…クッソー…でも…そんな事言うわけにはいかない…絶対知られないようにしないと…
 …『修行中』と言う言葉と『クロス・マリアン』の名前…でいざという時には乗り切ることに打ち合わせ済みなんだ…
 …師匠の許可まであるのに…ここまで言ってこの事態を乗り切れなかったら…
 …そう思った瞬間…ゾクッ!とする…背中を冷たい汗が伝う…
 …うう…
 …にしても…ああムカツク!…僕がこんなコワイ思いをするのも全部コイツの所為だっ!
 …だいたい…なんでコイツこんなに偉そうなんです?それとも本当に『神の使徒』だとか言ってイイ気になっているんでしょうか?『教団』はもしかしてこんなのばかりなんですか?
 …それなら師匠が毛嫌いするのも解りますが…
 …ああ…でも…レディーリナリー…彼女は少ししか話してませんが違うようですし…彼女が特別なんでしょうか?それともコイツが特別なんでしょうか?
 …出来れば違っていて欲しい所です…もしこんな胸くそ悪くなるようなヤツばかりだったら…対伯爵用の脅し文句が一つ減ってしまいます…しかもよりにもよって最も効果的なモノが…
 …どうしてくれるんです…最悪本当に『家出』してやろうかと思ってたのに… 
 …それに…ちょっとだけ『教団』の『科学班』っていう所に興味もあったのに…
 …コイツが特別だと…本当にそう思いたいところです…
 「ハッ!修行中だと?クロス元帥がいるから安心だと?随分甘えた考えだな?このモヤシ野郎が!そのくせ一人前に俺らを批判だと?てめぇこそ何様のつもりだ!?」
 「なっ!モヤッ!なんですかそれっ!巫山戯ないで下さい!僕にはアレン・ウォーカーと言う立派な名前があるんですっ!何様かって…僕はクロス師匠の弟子で助手ですよっ!言っておきますけど僕らは、師匠の『教団』嫌いの関係もあって、ヴァチカンの『力』なんて『全然』使ってないんですからねっ!全部自前ですよっ!生活費だって僕が稼いでるんですっ!…それに大体!僕の何処がモヤシだって言うんですかー!!!」
 聞き捨てならないっ!許せない!ムカツクムカツク!ああ!ここに他の人間がいなければどんな手を使ってでもコイツに知られないように…コイツに地獄を見せてやるのに…
 …ああここで僕が直接やるのはいくらなんでもマズイ…どうし…
 …ああ…そうだ…そう言えばあのレベル2まだここらにいる筈ですよね…フフ…
 …僕はこれでもノアなんです…それにいまはペンタクルによる『封印』も消してる…
 …まあペンタクルがあったって、アクマに呼び掛けるのは簡単に出来るんですけど…
 …あれは…気配を封じてるのであって『能力』を封じてる訳じゃ無いですからね…フフ…

                                            ―続く―

 ―あとがき―
 皆様どうもRINです。
 …今回はついに神田がアレンくんをモヤシと呼び…その為に黒アレン様が降臨されました。
 …次回…師匠への弟子入り年数増加による、黒さ倍増状態のアレン様が、ノアとしての顔も見せます…

 …ちなみにアレンくんが本文中で…『神の使徒』…云々…と非難していますが…別にアレンくんはロードの様に毛嫌いしている訳ではないです…
 …むしろ…師匠の影響で…それでも話半分だと思っているのですが…(…師匠の価値観は人とずれているので…)…一体どういうところ?と考えています…だからちょっと興味もあるんです…アレンくんは…

 ―それと…RIN自身も別に教団が嫌いなわけではありません…まあ…眉を顰める部分もいくつかありますが…
 
                                  ―それではまたの機会に―RIN―