「アクマはいないから大丈夫だそうですよ」
 安心させるような様子で、そう言ったのは…白い服を着た、これまで自分達を守って死んでいった人間達と同じ格好をした、顔に包帯を巻いている、人間の男だった…
 …自分の『心臓』を狙っている…その点ではあの『アクマ』とか言う『化け物』と、大して違わない…
 …まあ…それでも…『アレ』よりはいくらか話が通じるかも知れない…
 ―「巻き込んですまない」…
 …少し前に…あの黒髪の人間が言った言葉…
 …そして…いまの…あの人間の言葉…

 …人間なら…私の願いを聞いてくれるかも知れない…
 …私やグゾルを捨てたのは…人間だけど…
 …私を造ったのは人間で…そしてグゾルも…人間だから…


 
…ディスティニー…
         ―マテール編―
               ―13―
 


 …でも…それでも…いまは…

 …なんとか隙を見つけて…逃げないと…

 …グゾルと…二人だけで…話す必要もある…

 …なんで『あんなこと』を言ったのか聞かないと…

 …だから…

 …なんとか隙を見つけて逃げよう…

 …地下に逃げれば…きっと…大丈夫…

 …地下の道は…私とグゾルしか知らないから…

 …そうして… 

 …チャンスは意外と早く訪れた…
 白い服の人間が振り向いて「ついて来て下さい」と言った…そのすぐ後だった…
 …仕方なくついて行きかけた…その時…
 「…クロス元帥の…弟子だと…」
 …先程の黒髪の人間が…目の前で…壁の影に隠れ…その向こうを伺うようにしながら…驚きの声を漏らすのが聞こえた…
 「!えっ!神田殿っ!?いまの言葉はっ!?」
 …そして白い服の人間も…
 …二人は何かに酷く驚いて…そして気を取られていた…
 …それを見て…
 『いまだっ!!』
 …そう思った…

                                            ―続く―
 
 ―あとがき―
 どうも皆様、RINです。
 今回は内容的には前回本文の続きでそしてララ視点です。
 次回は久し振りにアレンくんが登場!
 次回14話と次々回15話は、2話に渡って、マナとアレンくんの『親子愛』をテーマにお送りしたいと思っております。
 
                                  ―それではまたの機会に―RIN―