「…迷子の…プロ…?…」
 …なんだか…凄く意外な事を聞いた…
 思わずついアレンくんをまじまじと見入ってしまう…
 アレンくんは…俯いて赤くなってる…
 …あっ…ちょっとかわいい…
 …なんだか…意外だな…フフ…
 ―くすり…
 「…解ったわ…そう言うことなら…アレンくん…『マテールの亡霊』のこと…お願いしても良いかしら」 
 アレンくんの意外な一面が…微笑ましい…
 …そう思いながら…にっこり笑って私は言った…

 
 
…ディスティニー…
           ―マテール編―
                    ―28―
 


 「…じゃあ…私は神田を病院に連れて行くわね」
 その言葉に…僕は…「えっ?」と思う…
 「…レディーリナリー…お一人で行かれるんですか?」
 …その細い体で…神田を一人で運ばれると…?…
 …そりゃあ…エクソシストなんだから…多少は鍛えてるんでしょうけど…でも…怪我人を運ぶのは…結構大変ですよ…?
 「ええ、私の『黒い靴(ダークブーツ)』なら病院まですぐに行けるでしょうし」
 …ああ…そう言えば…
 レディーリナリーのその言葉に…彼女がアクマと戦っていた時の事を思い出す…
 「…でも…一人で怪我人を運ぶのは結構大変ですよ?」
 「大丈夫よ、アレンくん私結構力あるのよ」
 フフと笑って彼女は言い…
 「気にしてくれてありがと…でもなんかちょっとくすぐったいかも…」
 照れくさそうに彼女は笑む…
 「…あの…やっぱり…僕が行きましょうか…?」
 神田を病院に運ばせるなんて…そんな力仕事女性一人にさせるわけには…そう思って問い掛ける…
 「…えっ…でも…アレンくん…迷子になるって…」
 「…ええ…多分…百パーセント迷うと思います…でも…女性一人に力仕事をさせるわけには…もしかしたら…運良く行きは迷わずに病院まで行けるかも知れませんし…」
 …そう…本当に運良くでしょうけど…そう思いつつ僕は言った…

                                            ―続く―