―ずっと…二人だけでこの街に居た…
その意味する所…そんな二人の間の絆を…その想いを考えると…アレンはどうしても二人をこのままにしておけず…最早当初の目的だった『人形の調査』より『二人の幸福(しあわせ)』を守りたいと…
…『自分達』に『似ている』この二人に…『自分』と同じ悲しみを味合わせたくないと思うようになっていた…
…ディスティニー…
―マテール編―
―32―
「…『人形』の調査…後回しになるかも…」
そう泣きそうな表情(かお)でアレンが言った…
…この子がいま…何を想い…何を考えているのかよく解る…
「…謝らなくていいよ…アレン…」
…私の所為だな…
そう思い『マナ(私)』は内心で嘆息を吐く…
「…いつも言ってるだろう…お前の好きにしなさいと…」
「…っでも…マナッ…」
「…私にとって…一番大切なのは…『お前と街を歩く事』より『お前が笑っていてくれる事』なんだ…」
私の言葉に反駁しようとしたアレンの…その言葉を遮り…そう言って私はアレンを諭す…
―…『それ』は真実…アレンに気を遣っての建て前でもなんでもなく…『私自身』の『本音』…
…そう…そしてだからこそ…『私』は…千年公を裏切った…
…喩えその結果…私が殺され…アレンを悲しませることになっても…
…それでも…
…私は『この子』の…アレンの本当の『幸福(しあわせ)』を守りたかったから…
―続く―