「…いつも言ってるだろう…お前の好きにしなさいと…」
 
 …そう…いつもマナはそう言う…
 …マナだけじゃない…師匠も……

 …そう…僕が『伯爵』の所に行く時でさえ…
 …マナは『あのヒト』に殺されたのに…
 …『伯爵』は師匠の敵なのに…

 …そしていまも…

 「…私にとって…一番大切なのは…『お前と街を歩く事』より『お前が笑っていてくれる事』なんだ…」
 そう言って…マナは僕を諭す…

 …きっといまマナにボディが…手があれば…にっこり笑って僕の頭を撫でてくれていただろう…
 そう思って僕はついに堪えきれず涙を零し…
 「……マナ…マナ…ごめんね…」
 …いまほどマナに思いっきり抱き締めて貰いたい時はない…
 …けれど…
 「…ありがとう…」
 …『あの二人』を見捨てたら…僕は絶対後悔する…
 …それが解ってるから…僕の僅かな迷いを感じ取って…マナは背中を押してくれた…

 …だから…今度こそ決めた…
 …二人をどうするのか…

 「…マナッ!行こうっ!!」
 僕は俯いていた顔を上げ涙を袖で乱暴に拭うとそう言った。

 …もう…迷いはなかった…



 
…ディスティニー…
           ―マテール編―
                    ―33― 
 


 「…マナッ!行こうっ!!」 
 そう言って僕は『マナ』を振り仰ぎ…
 「『あの二人』の居場所までの『道』調べてきたんでしょ。案内して」
 『連れて行って』と頼んだ…

                                  ―続く―

 ―あとがき―
 …久方ぶりに本文と冒頭が逆転してます…
 …書き直そうかとも思ったんですが…やっぱり止めました…
 本誌の影響でだいぶマナのイメージが変わったのですが…(…口調とか…)…ここまで書いた物を変えるわけにはいかないので…『もういいや』と思うことにしました…
 …そもそも本誌が云々と言い出したら…もっととんでもないコトが…(…『設定』の根本からもうマズイので…だって『この話』ではマナが『裏切りノア』…明確に『14番目』とは書いてませんけど…)
 クロノ=クラウンとこのシリーズではずっと『14番目』とは書かず…別のヒトが『裏切りノア』として登場した時用に『一応』…話の方向転換が可能なようにしてはいたんですが…(…例えば…もう一人別に『裏切りノア』がいたんですと言い張るつもりだったんですが…)
 『正体』ショックの所為でその目論見が消えました…
 …と言うわけで…随分前に他のどこかでも書いた気がしますが…RINは開き直ります。
 
 …ただ…チョッピシ…『あの設定』で『このシリーズ』を書いたらどうなるんだろうと思っているので…多分その内誘惑に負けて書きます…(…既に『ノーブル・ノア』では書いてますし…)

 …しかしその場合はまた捏造に捏造を重ねるんだろうなー…根本設定変える気無いし…

 …えー…いつか書こうと思っていたことをついでとばかりに書いていたらなんだか長くなりましたが…次回からは…いよいよララとグゾルの登場となると思います…

                             ―それではまたの機会に―RIN―