ドカン!
そんな音と共に建物が崩れ…アクマが吹っ飛ぶ…
「…あれは…」
…リナリーは先程見たものに驚き目を見張る…
…目の前には黒いコートを着た白髪の人物…の後ろ姿…とそのすぐ傍には…黒い小さな…色が金色ならば…それは自分も知るゴーレム…に酷似した…『何か』が飛んでいた…
…その『左腕』は…先程…アクマと戦っていた時は…確かに純白に輝き巨大化していた…
…ディスティニー…
―マテール編―
―4―
「……ああ…チョット力を入れ過ぎちゃいましたね…どこまで飛んでいったかな?あのアクマ…まあいいか…どうせすぐに…」
…何処か解らない所に飛んでいってしまったアクマの消えた方が見ていると…不意にポンポンと軽く『マナ』がアレンの肩を叩く…
「…?マナ?どうか…」
…普段はアレンに話しかけるマナが、無言でアレンに『何か』を伝えようとする…これは珍しいが無いわけではない…例えば他人の目がある時などはそう言うこともある…
…アレンは訝しみながらマナを見ると…マナはアレンの背後を指差していた…だからアレンはそちらを見て…そして…
…しまった…と思った…
…そこには…あのエクソシストの女の子…どうやら無事だったらしい…それは良かった…動けなくなっているかも知れないから捜そうかとは考えていたのだ…
…だが…これは…
…見られたか…見られてないか…まだ誤魔化す余地はあるか?…
…考え…思考を廻らせる…
「…あなた…さっきのはなに?」
…いまのは…なに?…(…近くに来てみてようやく気付いたが、目の前にいるのは老人かとも思ったが…少年だった…)…この男の子は…いったい…
…正体の分からない相手…先程の戦いは…もしかしたら…アクマが…こちらを騙すためにした芝居である可能性もあるため『何者』か判るまで油断は出来ない…
「…え?あの?なんのことですか?」
警戒するリナリーに、少年はキョトンとした…まるでなんのことか全然解らないと言う様子で聞いてきた。
「とぼけないで!あなた一体何者なの!?あなたはさっき確かにアクマと戦ってた!アクマと戦えるなんて…それにあなたの『左腕』…さっきの『アレ』はなに!?」
…リナリーはとぼけようとする少年に、自分はまるで全部見ていたかのように告げ、聞き出そうとする…
…実際は…アクマとの戦いをホンの少し…遠目から見ただけだったが…
「…え…あ…あの僕は…ある科学者の助手で…ここには『研究』の為に来たんです…なんでも500年前から動き続ける『人形』があるって話しを聞いて…参考になるかと…見てみたくて…そしたら…さっきのあれ…あのアクマっていうヤツがいて…丁度いい『研究材料』に使えるかなーと思いまして…だから…その…」
…やった…内心アレンは思った…目の前の女の子はまだ確信が無い…
…まあ…ペンタクルを見られたら…勘違いされる可能性もあるが…その時には諦めてイノセンスを見せ、師匠の名前を出せばいい…あとがコワイが…そう思いながらも…なんとか誤魔化そうと言い募る…
…別にアクマを倒したわけではない…吹っ飛ばしただけなのだ…『科学者』だと言えば『教団』の人間なら或いは勘違いしてくれるかも知れない…
「…科学者の助手?」
…アレンの言葉に女の子は眉を顰める…
「…じゃあ…さっきのは…だからだって言いたいの?」
「ええ…僕は師匠の弟子なので…」
…嘘は言ってない…アレンは内心で思いながら…にこやかな笑みを浮かべ…
「…ところで貴女はこんな廃墟に何をしに?…先程の『アレ』のこともなにか…」
…今度は向こうが困る質問をして誤魔化そうとした…師匠の名前を聞かれたりしたらマズイ…そう思って…
…だが…その時…ゾクッと…殺気を感じ…
「危ない!!」
アレンは少女を庇うように…抱きかかえ…その場を跳んだ…
ドドドドドドドン!!!
土煙と轟音の中…アレンはアクマの弾丸に晒されながら…少女に『それ』が当たらないよう全身で庇った…
―続く―
―あとがき―
どうもRINです。
マテール編も第4話になります。
お読み下さりどうも有り難うございます。
…今回アレンくんはなんとか誤魔化そうと頑張りました…でも…思いの外早く戻ってきたアクマの攻撃にリナリーを庇うこととなります…
…次回アレンくんは誤魔化しようがなくなります…
…それでも『教団』には行かずに済むように頑張ります…行ったらさすがに色々マズイので…
―それではまたの機会に―RIN―