―どうしてアレンをすぐに方舟に迎えに行かないのか…
…千年公の話でその理由は理解できた…
…千年公はアレンを覚醒めさせる為に、アレンの『内(なか)』の『種』の『魔力』を使ってアレンに呼び掛けて『ノーブル』としての『アレン』を覚醒めさせる『呼び水』にする気なんだ…
…そうすれば簡単にアレンは僕等の所に来てくれる…
…でも…
…その時のアレンは…僕の好きになったアレンのままなんだろうか?…
…不意に…それが不安になった…
…アレンが『家族』になるのは嬉しい…でも…アレンがアレンじゃなくなるのは…イヤダ…
―ミッシング・チャイルドの行方―
―10―
「…ねぇ…それってアレンがアレンじゃなくなっちゃうなんてことはないよね?」
…それまで黙って我輩の説明を聞いていたロードが不意に心配そうに言う…
…あアv…ナルホドv…
「大丈夫ですヨvロードv」
ロードの心配がなんなのか解った我輩はにっこり笑ってロードの頭を撫で…
「…覚醒めようとアレンはアレンでスv…あなたの好きなアレンがいなくなるわけではありませンv…たダvアレンにとっての『大切』な『モノ』の『価値観』が変わるだけでスv」
「…価値観が?」
…エエvと頷き…
「…順番が…と言ってもイイかも知れませんネ?v…でもそんなことは大したことではありませンv…ある日何かの切っ掛けで好きなモノを嫌いになったリv嫌いなモノを好きになったリvなんとも思っていなかったモノがいつの間にか大切になっていたリv…そんなことは誰にだって良くあることでしょウ?v…アレンの場合はどちらかと言うと『本心』に気付くだケv…そして教え込まれていた『価値観』が偽りであると教え『真実』を教えるだけなのですかラv」
…そウv…教えて上げるだけなのでスv『真実』ヲv
―ニィv
「…その結果アレンが以前と変わったとしてモvアレンがアレンであることに違いはありませンv」
…ですかラv心配はいりませンv
…そう再び言ってロードの頭をもう一度撫でて…
「…ロードの好きなアレンがいなくなると言うわけではありませんから安心して下さイv」
「…そっかー…」
…にっこり笑って伝えた言葉に…安心したらしく…ロードはとても嬉しそうに微笑った…
―終わり―