…我輩の言葉に…『女』は瞠目し…食い入るように我輩の顔の『その部分』を見つめる…
 …そして…
 「…あ…ああ…あああ…」
 …ガクガクと震えだす…
 「…解りましたカ?v我輩の言葉が本当だトv」
 …震えるその『愚かな女』に出来るだけ優しい『声』で我輩は語りかけた…


 
―ミッシング・チャイルドの行方―
                ―6―
 


 「…い…や…お…お願い…お願いです千年公!私はどうなってもいい!だからっ!だから『あの子』はっ!『アレン』だけはっそっとしておいてっ…」
 ―『アレン』―
 ―ニィ…
 「…やはり…『お前』は知っていたのですネ?v」
 …慌てて口元を抑えようとももう遅い…
 「…どうしても確信が持てなかったのですヨv…『そうである』と考えれば色々符号することはあったのですけどネェ?v」
 …御陰で漸く確信が持てましタv有り難うございまスvそう言ってやると…
 …目の前の『女』は…ガクガクと小刻みに震え…涙目で首を左右に振る…
 「…恐れることはありませんヨv…何も心配はいりませンv…ちゃんと会わせてあげまスv…いまアレンは崩壊中の方舟にエクソシスト達といますが…我輩の考えが正しければなんの心配もいらない筈でスv…」
 …そう…イノセンスでさえ魅入られたと言うならば『時空の狭間』如きで死にはしなイv…
 …そうでなくとも『ノーブル』は『ノア』…『超人』なのだかラv…

 ―ニィ…と嗤い…我輩は踵を返す…
 …もう…取り敢えずここには用はなイv…
 …アレン・ウォーカーをここに連れてくる『必要』はあるかも知れませんガv…

 …アレン・ウォーカーが『死ぬ』可能性があるとしたら『ノーブル』では無い場合…でももはやそれは無イv…
 …極上の『闇』に染まった『魂』は『手』に入れられずとも、変わりにずっと行方不明だった『ノーブル』の『子供』を見付ける事が出来ましタv…それも『最高クラス』の『能力』を持った『ノーブル』ヲv…
 …楽しみですネェ…
 回廊を歩きながら思う。
 …『ノーブル』として『アレン』が覚醒(めざめ)る『その時』ガv…

 …『純血』ゆえに通常『人間』の『要素』を持たぬ『ノーブル』は生まれながらに『ノア』である『自身』を『識って』いルv…
 …『直系』であるがゆえに…そして『無垢』であるがゆえに『メモリーズ』のように『ノアの記憶(メモリー)』は受け継いではいませんガv…
 …『無垢』であるからこそ『自身』の『力』については『無意識』で『識って』いルv
 …そウv…かっての『ノア』と同じクv…
 …『神』との『契約』をその身に宿す…『神』に『愛』されし…生まれながらの『義人』…
 …それが『ノア』…それが『ノーブル』… 
 …『彼等』は『誰』に教えられずともその『力』を使える…

 …そして恐らく『アレン』は…イノセンスが寄生した結果…その生まれ持った『強力』な『力』とイノセンスの『力』ゆえ…それらの『力』を『幼い赤子』の『身』でも『制御』出来るギリギリまで『無自覚』の『内』に『封じ込めて』いたのでしょウv…それもイノセンスが憑いた時点…恐らくは『胎児』の『頃』ニv…
 …そしてその結果遺伝子に影響が現れタv…
 …もしかしたら『歴代最強』かも知れませんネv…
 …或いは『あの預言』は『アレン』のことなのかも知れませんネェ?v

 …本当ニv…覚醒の時がいまから楽しみでスv… 

                                            ―続く―