―『アレン』が『ノーブル』かも知れない…
 …その考えが浮かんでから、僕はずっとアレンがいいと思っていた…

 …だから…

 …千年公の言葉がその考えを肯定してくれた時…

 …僕は凄く凄く嬉しかった…
 

 
―ミッシング・チャイルドの行方―
                ―8―
 


 「…アレンが…」
 ポツリとロードがその名を口にする…
 …その表情は喜びに溢れ…
 …どうやらロードはアレンに恋をしていたようですネv
 …アレンが『ノーブル』ならば我輩に否やはありませンvむしろ喜ばしイv元々『ノーブル』の『伴侶』になれるのは『奏者』だけ…ロードは『子供』が『男』だと判った『時』から『婚約者候補』の一人でしたからネェ?v
 …まあ…『ノーブル』の『成長』には『時間』が掛かるので実際どうなるかは分からなかったのですけれドv…
 …ですがアレンであれバv…既にあれほど成長していると言うのであれバv…ロードで十分問題ないでしょウv…
 「そうでスvアレン・ウォーカーが『ノーブル』でスvそれも恐らく『能力』は『眠って』いるだけで最高クラスでしょウv」
 …アレンが『ノーブル』だと知って嬉しそうなロードを頬笑ましく思いながら、我輩はにこにこと笑みを浮かべてそう言う…
 「え!?それってどういうこと?」
 …我輩の言葉にロードが目を見開く…
 …まあ…当然かもしれませんね…『血』から感じる『気』がこれほど微弱では…通常であれば『力』の『弱さ』を疑うものでスv…
 …ですガv…
 「…ロードも『ノーブル』が『どういう存在』なのかは知っているでしょう?『彼等』のあの輝く無垢な『魂』はこの世のありとあらゆる存在(もの)に愛され許されルv…」
 …そう…考えてみれば『アレン』の『魂』は『闇』に染まろうとも無垢で純粋な輝きを放っていタv…『人間』のものとは思えぬ程に『闇』が『極上』だったのも『当然』でスv元々『魂』そのものが『極上』の『最上級』の『光と闇』を持つ『純血のノア』v…汚れた『人間共』とは『格』が違うのですかラv
 …本当にどうして気付けなかったのカv…迂闊でしタv…
 …そう思いながら説明を続ける…
 「…イノセンスは本来『我輩達』を『ノア』をこの世から完全に滅ぼすために存在する『悪魔』ですから『あれ』が『ノーブル』を愛することも本来ならば有り得ませンv…ですがもしもそれが起こりうる程に『強い力』を持つ『ノーブル』ならバ?vイノセンスが魅入られその『力』を受けて『変化』しているのならバ?v…胎児の時点で『それ』を為し得る程にアレンの『力』が強いと言うのなラv恐らくその『力』は歴代最強と言ってもいいでしょウv…そして恐らくイノセンスの『力』と自らの『ノーブル』の『力』…強すぎる『力』を『制御』するために扱うことが出来るギリギリまでその『力』を自ら封じたのでしょウv…そしてその『影響』が遺伝子にも出タv…恐らく『力』を抑え込む関係でほぼ『人間』に見えるように『擬態』する『必要』があったのでしょうネv」
 …『ノーブル』は『本当』に『必要』なら『無自覚』でもその『力』を使いまスv『本能』が『ソレ』を識っていますからネェ?v
 「…それで…アレンはイノセンスが寄生してるの!?だから僕等がこれまで気付けなかったの!?」
 …そんなに…アレンは強いの?…
 …瞳を見開きポツリと漏らすロードに、我輩はそうですヨvと頷き…
 「…我輩がロードに『血』のデータを調べて貰ったのは、何も『ノーブル』か否かの確認のためだけではありませンv実際あの『血』からはその『気』をたとえ微弱ではあっても感じる事は出来ましたシv単純に確認のためだけでしたら、もっと簡単で手っ取り早い方法が他にありまスv」
 「…それって『ノーブル』の『絆』のこと?」
 我輩の言葉にロードがそう問う。
 「エエv『ノーブル』と『ノーブル』は、その『血の絆』によって『自分』と『相手』の『関係』を『本能』で識っていまスv『ノア』にとって『血の絆』は『特別』ですが、『ノーブル』は『それ』が特に『強い』…アレンの『力』はほぼ封じられているので『ノーブル』以外はその『血』を感じる事ができないし、またアレン自身もそれは同様でしょウv…ですがアレンがかって我輩の『声』に耳を傾けたのは、恐らくただ『哀しみと絶望の闇』に堕ちていたからだけではなイv…ほぼその『力』が『眠って』いたとは言え『本能』で『理解』し、『無意識』に我輩を味方だと『判断』したのでスv」
 …頭では『養父』だと思っていても『本能』では『父親』であると識っていた筈でスv
 …『ノーブル』の『子供』にとって『父親』である『奏者』は『ノーブル』である『母親』に次いで『特別』でスv…
 …その『相手』がいつもそばにいて、ずっと『自分』を『大切』に育ててくれていた…恐らく『母親』がそばにいない分その向けられる『愛情』はすべて『父親』に向かっていた筈でスv失えば『平静』でいられよう筈がなイv
 …『何も』知らないなりに『本能』で『我輩』を『理解』し…そして…必死で助けを求めたのでしょウv…
 …我輩はにっこり笑って…
 「…嬉しいですネvアレンは『本能』では解っているのですヨv我輩達が『家族』だトv」
 …ソウv…『無意識』で『絶対』の『味方』であると『理解』していルv…
 「…そして我輩に対して『そう』であるならば…『ノーブル』に会えばまず確実に『理解』するでしょウv…だから確認だけならば『ノーブル』にお願いすれば問題は無かったのでスv」
 「…じゃあ『血』のデータを取った理由ってなんなの?」
 我輩の言葉にロードが別の理由があるんでしょう?と問う…
 「…アレンは三年前…イノセンスが初めて発動するまで髪の色が違いましタv…恐らく『あの時』…アレン自身の命の危機にイノセンスが反応し…アレンを死なせまいと、アレンの『力』による『封印』の一部を破り『力』を発揮したのでしょウv…その際に完全には解けずとも『封印』の一部は損なわれ、僅かにその『血』が目覚めた結果、髪の色だけは本来の『ソレ』に戻った…ただそれでも大半が眠っており…いまだ遺伝子にも『影響』が残っている可能性がありましタv…瞳の色とあの『血』から感じる微弱な『気』がそれを物語っていまスv…ですかラv我輩はアレンの『封印』の『状態』がどのような『モノ』なのかを知りたくて詳細なデータが欲しかったのでスv」
 …そう言うわけで…とても『大切』なことだったんですヨvと続けにっこり笑って…
 …ですから…データを見せて下さいネvと告げた。 
 
                                            ―続く―