「…まさかあの子供がイノセンスを宿していたとは思いませんでしタv」
 …誤算でしたネェv
 …でもまアvそれならそれでやりようがありまスv
 「…『種』は植え付けてありますからネェv」
 …イノセンスに魅入られているとはとても思えない程…実に素晴らしい『闇』でしタv
 …きっと『父親』をその手で『殺した』ことで、より深い『絶望の闇』へと堕ちたことでしょウv
 「…折を見て…もう一度…」
 …その時には…イノセンスも壊しましょウv

 …皮肉ですネェvイノセンスvお前の存在が、お前が選んだ子供を『闇』へと堕とすのですかラv


 
―プロローグ―
       ―4―
  


 『殺しておけばよかった』
 …そう思った…
 …目の前には…『あの日』アクマにし損ねた『あの子供』…
 …最初は分からなかった…
 …それ程に目の前の子供は、あの時とは違っていたから…
 …あの後…この子供に再度接触しようと墓地に行った…
 …だが子供はいなかった。
 …てっきり…とっくに死んでいると思っていた…

 …それが…

 …よりにもよって…あのクロス・マリアンに拾われてエクソシストになったと…

 …しかも…アクマを救うなどと…

 …あの『闇』はどこにいった…

 …あの素晴らしい『闇』は…

 …何故こんな『瞳』をしている…

 …我輩が植え付けた『種』はどこに消えた…

 …なんと言うことか…

 …我輩のしたことがこうまで裏目にでるとは…

 …こんなことになるのならば…どれほど魅力的な『闇』を持っていようと殺しておけばよかった…

 …意趣返しと皮肉…そしてなにより『あの男』から聞き出さねばならないことがあったからこそ、目の前の子供の『闇』を利用してアクマにしてやろうと…

 …そう思ったのに…

 …せめて我輩を憎んでいれば、付け入る隙も有っただろうに…

 …クロス・マリアン…

 …アレン・ウォーカー…

 …悔しさに千年伯爵は歯噛みする。

                                            ―続く―