『殺した』…筈だった…

 …千年公に受けた『注意』通りに…

 …『念入り』に『確実』に…

 『殺した』筈なのに…なのに…何故…

 …『リスト』から『名前』が消えない?

 …俺の『殺し』は『確実』なのに…

 …『心臓』に穴を開けられて生きていられる筈が無いのに…

 …何故…?…


 
ティキ・ミックの疑問―3―


 「…まず真っ先にやって欲しいのはですネvアレンの『左腕』のイノセンスを奪っテ、アレンの目の前で『確実』に破壊して下さイv」
 「…はあ…なんですか?それ?」
 …妙な指示だ…これまでこんな指示受けたことが無い…
 …特殊なヤツだとか言っていたが…しかしなんの意味が…そう思い聞いてみると…
 「意味はありまスvとても『大切』な意味ガvそれにこれを間違えるとティキぽんと言えど無事では済まないと思いまスv」
 …無事じゃ済まない…?…それは一体…
 「どういう意味っスか?」
 「…興味があるんなラ…まあ…イノセンスをそのままにして先にアレンを殺そうとしても良いですガv…恐らく不可能ですシ、無駄なだけですから止めておきなさイv…ティキぽんが怪我をしたいのなラ、我輩は止めませんガv」
 俺の疑問に千年公はにこりと笑って言う…
 …意味が良く解らない…だが…まあイノセンスが無事ならどんな抵抗をしてくるか確かに解らない…なら千年公の言う通りにしておくか…?…
 …それに…まるっきり…無意味って訳じゃあなさそうだし…
 「イノセンスを壊したら今度はアレンを『確実』にお願いしまスv…そうですネv…ティーズに心臓を食べさせるのがてっとり早いでショウv気が進まないようでしたラ、心臓に穴を開けるだけでもいいでスv…兎に角確実に致命傷をお願いしまスv…それでも『ゼンゼン』大丈夫ですから『安心』してやって下さイv」
 …妙な注文だ…大体…いつも俺がやってることで…今更わざわざ言われる程でも無いのに…何故…念を押すように言うのだろう…?…
 …それに…千年公が最後に付け足した『あの言葉』…一体…『なに』が『ゼンゼン大丈夫』なのだろう?…それに『安心』って…?…どういう意味だ…?…
 …千年公…まるで意味が解らないのに…『何をどう安心』するんです?
 …そう聞いたら…千年公は…ニヤニヤと笑いながら…
 「いずれ解りまスv」
 …と言った…

 …俺は…『その千年公の言葉を受けてその通りに殺した』…

 …なのに…何故…生きてるんだ…?…

 …でも…その疑問を余所に…俺の心は喜んで…そしてどこか…ホッと『安心』した…

 …そして…それを自覚して…疑問を抱く…なんでだ…?…と…

                                            ―続く―