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 …愛しくて愛しくて堪らなかった…

 …ずっとずっと…一緒にいたかった…

 …『狂ってる』と『他人(ひと)』には云われた…


 
―Walker― 
         ―1―
  


 「あいつらは…否…マナはおかしい…」
 「…あなた…」
 「弟に執着し過ぎてる、このままだと我が家は断絶する」
 「…幸い…○○○に養子の話が来てる。あの子には魔術の素養があるらしい」
 「今の内にあの二人は引き離した方がいい」

 ―その『会話』を聴いたのは本当に偶々だった…

 『狂ってる』『おかしい』…色々なヤツが言った。

 …でもどうでも良かった。『他人』なんてそれこそ…

 …僕にとって…重要なのは『あの子』だけ…『意味』があるのは『あの子』だけ…

 …『あの子』が傍にいてくれさえすればそれで良かった…そう『あの子』が…

 「…なのに…」

 …『あの人達』は『なんて言ってた』?…

 「…『あの子』を…養子にやる…?…」

 …なんで…?…

 「…僕達を…引き離す…?…」

 …どうして…?…

 …誰がなんて言っても構わなかった…だけど…

 ―『あの人達』…『父と母』が…そう決めたのなら…

 …僕達は…僕達は…本当に引き離されてしまう…もう…『あの子』の傍にいられない…

 「……っ…そんなの…イヤだっ…!…」
 涙を流し僕は弟の部屋へと向かって屋敷内を走った。

                                       ―続く―