―新たな『器』がこの世に誕生しようとしているのを感じ取った…
そうしてその『気配』を感じ辿り着いた先にいたのは、自身の大きな腹を愛しげにさする身重の女性…
…感じる『気配』はその『女性』の『胎(はら)』の『内(なか)』…
―我輩は『新しい器』に一度試しに『意識』を宿そうと試みて…そして気が付いた…その『胎(はら)』の『内(なか)』に『二人分』の『気配』が『存在』している事に…
―Walker―
―序―
『オギャー!オギャー!オギャー!』
『赤ん坊』が生まれた。『双子』の元気な『男の子』だ。
―片方は『我輩』の『生まれ変わり』とも言える『子供』で…
そして『もう一人』は…
『我輩』は姿を常人の目に映らぬように消して揺りかごの中で元気な泣き声を上げる二人の赤子に近付く…
「オギャー!オギャー!オギャー!」
片方の赤子は未だ泣き続けている。
…しかしもう片方は…
「…ア…アァー!」
近付いた『我輩』に気付き、にっこりと笑ってその小さな手を伸ばして来る。
…ああ…やはりこの子には視えるのだ。『我輩』が…
二人の赤子…双方から感じるノアの『気配』…
『第1使徒』の『記憶(メモリー)』に『適合』する『遺伝子』の『気配』…
…最初は…どちらであっても良かった…でも今は…
『我輩』を視てにこりと笑った『あの子』…その笑顔で気が付いた…『この子』は『我輩』の『弟』だと…『神』が新たに『誕生』させた『ノア』なのだと…
―続く―